交通事故被害で弁護士に依頼するベストなタイミングっていつ?

2024年12月09日
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交通事故被害で弁護士に依頼するベストなタイミングっていつ?

大分市が公表している交通事故発生状況に関する統計資料によると、2023年に大分市内で発生した交通事故件数は1230件で、前年とほぼ同水準でした。大分県内の交通事故件数が2233件ですので、半数以上の交通事故が大分市内で発生していることがわかります。

交通事故で怪我をした場合、適切な補償を受けるために弁護士のサポートが重要となるケースもあります。弁護士に依頼するタイミングは、特に決められているわけではありませんが、状況に応じてベストなタイミングがありますのでしっかりと押さえておきましょう。

今回は、交通事故被害で弁護士に依頼するベストなタイミングについて、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。


交通事故問題を弁護士に相談 交通事故問題を弁護士に相談

1、交通事故解決の流れ

交通事故の発生から解決までの一般的な流れは、以下のようになります。

  1. (1)事故発生

    交通事故が発生した直後は、以下のような対応が必要になります。

    • 警察への届出
    • 相手方の連絡先や保険会社の情報の確認
    • ご自身の加入する保険会社への連絡
    • 病院への受診


    事故直後は、痛みを感じなくても、数時間後または数日後に強い痛みが出てくることもあります。そのため、症状が軽くても必ず病院を受診するようにしてください

  2. (2)治療

    病院を受診した際には、自分の症状を医師にしっかりと伝え、必要な検査を行うようにしましょう。また、自分の判断で治療を止めることはせず、医師の指示に従って定期的に通院をすることが大切です。

  3. (3)完治・症状固定

    治療により症状が完全になくなれば完治となります。

    しかし、怪我の内容や程度によっては、治療を継続しても症状が改善せず、何らかの症状が残ってしまうことがあります。このような状態を「症状固定」といい、残存する症状については、後遺障害等級認定の対象となる可能性があります。

    交通事故の治療は、医師から完治または症状固定と診断されるまで継続しましょう

  4. (4)後遺障害等級認定の手続き

    医師から症状固定と診断されたら、後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害等級認定の手続きを進めていきます。

    後遺障害等級認定の手続きには、主に「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法があります。事前認定は、加害者の保険会社にすべての手続きを任せる方法で、被害者請求は、被害者自身で手続きする方法です。

    適正な後遺障害等級認定を受けるには、保険会社に任せきりにするのではなく、被害者自身で資料の収集・提出ができる被害者請求がおすすめです。

  5. (5)示談交渉

    完治または症状固定後の後遺障害等級認定の手続きが完了したタイミングで、保険会社との示談交渉を行います。

    示談交渉で保険会社から納得できる金額が提示されれば、示談書に署名押印をして、示談成立となります。示談が成立すると1週間前後で保険会社から示談金が指定された銀行口座に振り込まれます。

  6. (6)訴訟

    示談交渉で納得できる示談金が提示されないときは、裁判所に訴訟の提起を行います。

2、依頼のタイミングは示談成立前ならいつでもOK

弁護士への相談や依頼は、示談成立前であればいつでも可能です。もっとも、状況別にベストなタイミングがありますので、以下で詳しく説明します。

  1. (1)保険会社との対応を任せたい|治療開始後

    交通事故の被害に遭うと保険会社とのやり取りをすべて被害者自身で対応しなければなりません。初めて事故を経験するという方がほとんどですので、どのように対応すればよいのか、解決までどのような流れで進めればよいのかなどわからないことも多いでしょう。

    このような事故直後の不安を解消し、安心して治療に専念したいという場合には、治療開始後すぐのタイミングで弁護士に依頼するとよいでしょう。

  2. (2)後遺障害等級認定の手続きを任せたい|症状固定時まで

    治療を継続しても何らかの症状が残ってしまったときは、後遺障害等級認定の手続きが必要になります。適正な後遺障害等級認定を受けるには、被害者請求という方法によって行う必要がありますが、知識や経験がない方には負担の大きい手続きといえます。

    後遺障害等級認定の被害者請求は、弁護士に依頼して行うこともできますので、後遺障害等級認定の手続きを任せたいという場合には、症状固定時までのタイミングで弁護士に依頼するとよいでしょう。

    治療中から弁護士に依頼していれば、適正な後遺障害等級認定に向けたさまざまなアドバイスを受けられます。

  3. (3)示談交渉を任せたい|示談交渉開始まで

    保険会社から提示される示談金額は、裁判になった場合の相場に比べて低い金額であることがほとんどです。知識や経験がない方だと示談金の相場を理解せず、不利な条件で示談に応じてしまう可能性もあります。

    そのため、自分で示談交渉に対応するのが不安だという方は、示談交渉開始までのタイミングで弁護士に依頼するとよいでしょう。

3、弁護士に依頼するメリットとは

弁護士に交通事故の依頼をすることで、以下のようなメリットが得られます。

  1. (1)保険会社との面倒な対応をすべて任せられる

    日常の家事や仕事に加えて、怪我の治療のための通院をしなければならない状況で、さらに保険会社との交渉までしなければならないのは大きな負担となります。

    また、被害者と保険会社の担当者との間には、情報量や交渉力において圧倒的な格差がありますので、被害者自身で対応すると不利な条件であることに気付かずに示談に応じてしまう可能性もあります。

    弁護士に依頼をすれば、このような面倒な保険会社との対応をすべて任せることができますので、被害者自身の負担を最小限に抑えることができます。また、弁護士であれば保険会社と対等な立場で交渉をすることができますので、不利な条件を押し付けられてしまうおそれもありません

  2. (2)適正な後遺障害等級認定を受けられる

    医師から症状固定と診断された場合は、残存する症状について後遺障害等級認定を受けることになります。後遺障害等級認定の手続きでは、具体的な症状に応じて第1級から14級までの等級が定められており、どの等級が認定されるかによって、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の金額が大きく異なってきます。

    適正な賠償金の支払いを受けるためには、適正な後遺障害等級認定を受けることが重要なポイントとなります。弁護士であれば、後遺障害等級の認定基準を熟知していますので、適正な後遺障害等級認定の獲得に向けた資料収集や検査などのアドバイスができます。

    また、被害者請求の方法で後遺障害等級認定の手続きを行う場合も、弁護士に対応を任せることができますので、被害者自身の負担はほとんどありません。

  3. (3)慰謝料を増額できる可能性がある

    交通事故の慰謝料の算定基準には、以下の3つの基準があります。

    1. ① 自賠責保険基準
    2. ② 任意保険基準
    3. ③ 裁判所基準(弁護士基準)


    ③の裁判所基準(弁護士基準)が3つの中でもっとも高額な慰謝料を受け取れますが、加害者の保険会社に任せた場合、②の任意保険基準に基づき算定されるため、③と比べると大幅に低い金額となります。

    弁護士に依頼をすれば、被害者にとって有利な裁判所基準で保険会社と示談交渉をすることができますので、保険会社から提示された慰謝料を増額できる可能性が高くなります。少しでも多くの賠償金を獲得したいという場合には、弁護士への依頼をご検討ください。

4、弁護士に依頼できない場合

以下のようなタイミングだと弁護士に依頼することができませんので注意が必要です。

  1. (1)すでに示談が成立している

    加害者の保険会社との間で示談が成立後に、「示談の条件に納得できない」と感じる方もいるかもしれません。

    しかし、すでに示談が成立してしまっている場合、基本的には示談のやり直しをすることはできないため注意が必要です。

    そのため、保険会社から提示された金額が適正なものかどうか判断に迷うときは、自分だけで判断するのではなく、示談成立前に弁護士に相談することが大切です。

  2. (2)損害賠償請求の時効が成立している

    交通事故の損害賠償請求権には、時効がありますので、一定期間が経過してしまうと、時効により権利が消滅してしまいます。

    具体的な時効期間は、事故類型ごとに、以下のように定められています。

    • 物損事故の時効期間:3年または20年
    • 人身事故の時効期間:5年または20年


    時効がスタートする時点は、以下のとおりです。

    • 被害者が「損害および加害者を知った日」の翌日から時効開始


    一般的な交通事故であれば事故直後に損害と加害者を知ることになりますので、事故発生日の翌日が時効の起算点となります。

    これに対して、ひき逃げ事故のように加害者がわからない事故の場合には、加害者が特定された時点から3年または5年が時効の起算点となります。ただし、加害者が特定できなかったときでも、事故の翌日から20年で時効になります。

    時効が完成してしまうと、弁護士に依頼したとしても損害賠償請求をするのは困難ですので、交通事故の被害にあったときは、早めに弁護士に相談するようにしましょう

5、まとめ

弁護士に交通事故の事案を依頼するタイミングとしては、遅くとも保険会社との間で示談が成立する前である必要があります。弁護士に依頼するタイミングは、早ければ早いほどより多くのアドバイスやサポートが受けられますので、交通事故の対応に不安を感じる方は、治療開始直後から相談・依頼をするとよいでしょう。

ご自身が加入する自動車保険に弁護士費用特約が付帯している場合、基本的には費用負担なく弁護士に依頼することができますのでまずは確認することをおすすめします。
べリーベスト法律事務所 大分オフィスでは交通事故トラブルについて随時ご相談を受け付けております。交通事故の被害に遭ってお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています