交通事故における示談交渉の流れ|損をしない対応策を徹底解説
- 示談交渉
- 事故
- 示談
- 流れ

令和5年に大分市内で発生した交通事故は1230件で、死者数は4名、負傷者は1518件でした。
交通事故に遭い、損害賠償を請求するには、相手方との間で示談交渉を行う必要があります。相手方が任意保険に加入している場合は、一般的に保険会社と示談交渉をすることになります。保険会社からは、示談金額の提案などを受けるでしょう。しかし、提示額が適正かどうか、判断するのは難しいかもしれません。
本記事では、交通事故の示談交渉の流れや、適正額の損害賠償を受け取るためのポイントなどを、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。
出典:「大分市統計年鑑(令和5年版)」(大分市)


1、交通事故の示談交渉の基礎知識と進め方
交通事故の示談交渉とは、事故の当事者間で話し合い、損害賠償の内容を取り決める手続きのことです。加害者側が任意保険に加入していた場合、被害者の示談交渉の相手方は、一般的に、保険会社となります。
被害者は、自分で示談交渉をすることが可能ですが、弁護士に依頼することもできます。
-
(1)交通事故の示談交渉を始めるタイミング
交通事故の示談交渉は、損害額が確定したタイミングで始めるのが一般的です。人身事故の場合、具体的には、ケガが完治したときです。
ケガが完治せず、後遺障害が残ったときは、後遺障害等級の認定を受けたときが、示談交渉を始めるタイミングといえます。 -
(2)交通事故の示談交渉の流れ
交通事故の示談交渉の基本的な流れは、以下のとおりです。
① ケガの完治または症状固定を待つ
基本的には完治を待ちます。しかし、後遺障害が残ったら、症状固定の診断を受けることになります。完治または症状固定の診断は、医師が行います。
※症状固定:治療を続けても改善が見込めないと、医学的に判断される状態
② 後遺障害等級認定を受ける
後遺障害が残って症状固定の診断を受けた場合、後遺障害等級の認定を申請します。等級認定は損害保険料率算出機構が行い、その結果を被害者に通知します。
③ 損害額を積算する
生じた損害額を積算し、加害者側に対して請求する損害賠償額を決めます。
④ 示談交渉を行う
加害者側との間で、損害賠償の内容を話し合います。双方の提示額が異なる場合は、譲歩し合いながら和解できるかどうかを検討します。
⑤ 示談書の締結・示談金の支払い
損害賠償について合意が得られたら、その内容をまとめた示談書を締結します。その後、示談書の定めに従って損害賠償金(示談金)が支払われます。
もし、示談交渉が決裂した場合は、交通事故ADR(裁判外紛争解決手続)や訴訟などを通じて損害賠償請求を行うことになります。
2、保険会社と示談交渉をする際の注意点
保険会社と交通事故の示談交渉を行う際には、いくつか注意したいポイントがあるので、確認していきましょう。
-
(1)保険会社の提示額をうのみにしない
加害者側の保険会社は、自社が支払う保険金額を抑えようとして、適正な水準よりも低い金額を提示することがあります。
被害者側としては、保険会社の提示額をうのみにしてはいけません。保険金額の提示を受けたら、持ち帰って弁護士に相談しましょう。弁護士と協力して法的な観点から検討を行うことで、提示された金額よりも高額の損害賠償を請求できると判明することもあるでしょう。 -
(2)示談書は原則撤回できない|サインする際は慎重に
示談書にサインをすると、原則として撤回は認められません。たとえ示談書に記載された損害賠償額が不適切であっても、サインした当事者の自己責任であるとみなされて撤回できないケースが一般的です。
保険会社から示談書へのサインを促されても、焦ってサインしてはいけません。弁護士に相談して、本当に示談書へサインしてよいかどうか慎重に検討しましょう。
お問い合わせください。
3、適正額の損害賠償(保険金)を受け取るためのポイント
交通事故の示談交渉を通じて、適正額の損害賠償を受け取るためには、以下のポイントに注意しながら対応しましょう。
-
(1)損害額を漏れなく把握し、計算する
交通事故の被害者は、加害者側に対して多岐にわたる項目の損害賠償を請求できます。
賠償を請求できる損害項目としては、以下の例が挙げられます。- 治療費
- 通院交通費
- 装具や器具の購入費
- 入院雑費
- 休業損害
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
- 逸失利益
- 葬儀費用
- 車の修理費
- 車の評価損
- 代車費用
- 休車損害
適正額の損害賠償を得るためには、被害者に生じた損害を漏れなく把握して積算することが大切です。
-
(2)裁判所基準(弁護士基準)によって損害賠償を請求する
交通事故の損害賠償額を算定する基準には、以下の3種類があります。
① 自賠責保険基準
自賠責保険から支払われる保険金額を算定する基準です。3つの基準の中で、一般的に、最も低い金額となります。
② 任意保険基準
加害者側の任意保険会社が独自に設けている基準です。一般的に、自賠責保険基準よりは若干高額となるものの、次に紹介する裁判所基準(弁護士基準)による額には及びません。
③ 裁判所基準(弁護士基準)
過去の裁判例に基づき、客観的な損害額を算定する基準です。一般的に、被害者にとって最も有利かつ公正な損害賠償額を算定できます。
被害者には、裁判所基準(弁護士基準)による損害賠償を受ける権利があります。しかし、裁判所基準を使った損害賠償請求を行うためには、弁護士のサポートが欠かせません。適正額を受けるためには、弁護士に依頼し、裁判所基準によって損害賠償を請求しましょう。
-
(3)後遺障害等級の認定を受ける
後遺障害が残った場合は、加害者側の自賠責保険の保険会社を通じて、後遺障害等級の認定を申請しましょう。後遺障害等級は1級から14級までの数字で表され、数字が小さいほど重い症状で認定を受けたことになります。
後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益の損害賠償を請求可能です。
後遺障害慰謝料は~数千万円、逸失利益は~数億円に上るケースもあります。十分な額の損害賠償を得るため、後遺障害が残ったときは必ず後遺障害等級の認定を申請しましょう。 -
(4)客観的な状況に基づく正しい過失割合を主張する
被害者側に過失がある場合は、過失相殺によって交通事故の損害賠償が減額されてしまいます。
加害者側の保険会社は、自社が支払う保険金額を抑えようとして、被害者側に不利な過失割合を主張してくる可能性もあるでしょう。
過失相殺の主張を受けた場合は、実況見分調書やドライブレコーダーの映像などを確認して、保険会社の主張が妥当かどうかを検討すべきです。
もし不適切な過失割合を主張された場合は、客観的な状況に即した正しい過失割合を適用するよう求めましょう。
4、交通事故の示談交渉について、弁護士のサポートを受けるべき理由
交通事故の示談交渉を被害者自身が行うと、加害者側の保険会社の主張が妥当かどうか、判断するのが難しい場面が出てくるかもしれません。保険会社のプレッシャーに負けて、不本意な金額で示談に応じてしまう可能性もあります。
交通事故被害について適正額の損害賠償を得るためには、弁護士に依頼してサポートを受けましょう。
弁護士に依頼することには、主に以下のメリットがあります。
- 交通事故による損害額を漏れなく把握し、計算できる
- 保険会社からの任意保険基準による提示額を拒否し、裁判所基準によって適正額の損害賠償を請求できる
- 後遺障害等級認定の申請に必要な書類の準備をサポートできる。認定基準を踏まえて準備を整えることによって、適正な後遺障害等級が認定される可能性が高まる
- 交通事故の客観的な状況に基づき、正しい過失割合を主張できる
- 損害賠償請求に役立つ証拠の収集方法について、具体的にアドバイスを受けられる
- 被害者自身が示談交渉や訴訟などに対応する必要がなくなるため、労力やストレスが軽減される
交通事故による被害から1日も早く立ち直るためには、弁護士によるサポートが大いに役立ちます。交通事故の被害に遭ってしまった方は、お早めに弁護士へご相談ください。
5、まとめ
交通事故の示談交渉へ臨む際には、十分な損害賠償を受けるための準備を整えることが大切です。被害者に生じた損害を漏れなく把握したうえで、弁護士基準によって適正な損害賠償額を計算しましょう。後遺障害が残っている場合は、適正な後遺障害等級の認定を受けることも重要です。
示談交渉においては、保険会社側の言い分をうのみにしてはいけません。保険金額の提示を受けたら、必ず持ち帰って弁護士に相談し、被害者側として適正と考える金額を再提示しましょう。
交通事故の示談交渉に当たっては、弁護士のサポートが欠かせません。弁護士を代理人として示談交渉に臨むことでストレスが大幅に軽減され、適正額の損害賠償を得られる可能性が高まります。
ベリーベスト法律事務所は、交通事故の損害賠償請求に関するご相談を随時受け付けております。経験豊富な弁護士が事故の客観的な状況を分析したうえで、できる限り多くの損害賠償を得られるように尽力いたします。
交通事故の被害に遭ってしまい、示談交渉を専門家に任せたいと考えている方は、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスへご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
- |<
- 前
- 次
- >|