窃盗したら罪の重さは? 逮捕後の流れや罪を軽くする方法を紹介
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大分県警察が公表している「令和6年版大分県の犯罪情勢」によると、令和6年の大分県内における刑法犯の認知件数は3442件で、犯罪率(一定人口に占める刑法犯の発生件数)は、全国で4番目に少ない結果でした。刑法犯罪の種類別に見ると、窃盗犯が2261件でもっとも多く犯罪全体の65.7%を占めています。
窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立する犯罪です。窃盗した場合の罪の重さは、具体的な事案によって異なりますので、ケース別の罪の重さを理解しておくとよいでしょう。
今回は、窃盗したときの罪の重さ、逮捕後の流れや罪を軽くする方法などについて、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。


1、窃盗したら罪の重さはどうなる?
窃盗した場合の罪の重さはどの程度なのでしょうか。以下では、窃盗罪の概要とケース別の罪の重さを説明します。
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(1)窃盗とは? 窃盗罪に該当するケース
窃盗罪とは、他人の財物を窃取した場合に成立する犯罪です(刑法235条)。
具体的には以下のようなケースが窃盗罪になります。- 空き巣(侵入盗):留守宅を狙って進入し、住居内の金目の物を盗む行為
- 万引き:スーパーやコンビニなどの商品を会計せずに持ち去る行為
- スリ:他人のバッグやポケットから財布をこっそりと抜き取る行為
- 置き引き:座席に置き忘れたバッグを持ち去る行為
- 車上ねらい:駐車場にとめてある自動車からバッグなどの財物を持ち去る行為
- 自転車盗:駐輪場にとめてある自転車を勝手に乗り去る行為
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(2)窃盗罪の刑罰
窃盗罪の刑罰には、「拘禁刑」と「罰金刑」の2種類があり、10年以下の懲役または50万円以下の罰金のいずれかが科されます。
拘禁刑の下限は1月、罰金刑の下限は1万円ですので、窃盗罪を犯した場合、以下の範囲内で拘禁刑か罰金刑が科されることになります。- 拘禁刑:1月以上10年以下
- 罰金刑:1万円以上50万円以下
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(3)【ケース別】窃盗罪における罪の重さ
窃盗罪が成立すると、上記の刑罰が科されますが、具体的な罪の重さは、前科前歴の有無、行為態様、被害弁償の有無などの要素によって変わってきます。以下では、具体的な窃盗罪のケース別に罪の重さを説明します。
① 初犯の罪の重さ
窃盗罪の初犯の場合、不起訴処分または罰金刑(略式命令)になる可能性が高いです。
ただし、初犯であっても盗んだものが高額である、複数の余罪がある、犯行態様が悪質であるなどの事情がある場合には、公判請求されて拘禁刑の実刑になる可能性もあります。
② 再犯の罪の重さ
窃盗罪の再犯の場合、初犯に比べて罪が重くなる傾向がありますので、公判請求されて拘禁刑が科される可能性があります。実刑になるかどうかは、具体的な行為態様や被害弁償の有無によって左右されますが、再犯であっても被害者と示談ができていれば執行猶予を獲得できる可能性があるでしょう。
③ 悪質なケースの罪の重さ
同じ窃盗の事件でも、計画性が高い事案や組織的な犯行、被害額が高額な事案に関しては、行為態様が悪質であると評価されて、重い刑罰が科される傾向があります。
このような悪質なケースの場合、公判請求されて拘禁刑の実刑になる可能性もあります。 -
(4)窃盗罪で執行猶予になる可能性はある
執行猶予の条件は、言い渡される刑が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金であることです。窃盗罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金ですので、事案によっては執行猶予が付く可能性は十分にあります。
執行猶予を付けるかどうかは裁判所が判断しますが、その際には以下のような事情を考慮します。- 犯罪の重さや悪質性、結果の重大性
- 被害者との示談の有無、被害者の処罰感情の強さ
- 前科の有無
- 犯行に至る経緯(計画性、常習性など)
- 反省の態度
- 再犯のおそれ
2、逮捕された後の流れ
窃盗罪で逮捕された場合、以下のような流れで刑事手続きが進んでいきます。
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(1)逮捕されると身柄が拘束されて取り調べが始まる
窃盗罪で逮捕されると身柄拘束されて警察署に連行され、そのまま警察による取り調べが始まります。
取り調べでは、いつ、どこで、何を盗んだのか、どのような経緯や動機だったのか、事件前後の行動などが聞かれます。取り調べで作成される供述調書に署名・押印をした後は、内容の訂正が困難になるため、内容をしっかりと確認してから署名・押印に応じるようにしてください。 -
(2)48時間以内に検察に事件が送られるか、微罪処分で釈放される
警察での取り調べがあった後は、「検察に事件を送る」または「微罪処分で釈放する」のどちらかの対応がとられます。
微罪処分とは、一定の軽微な事件について警察が捜査した事件を検察に送らずに警察だけで終了させる処分をいいます。
被害額が少額な万引き事件で、被疑者に前科・前歴がなく、被害弁償が行われているなどの事案については微罪処分で終了する可能性があります。
他方、それ以外の事案については、逮捕から48時間以内に検察に事件が送られます。 -
(3)検察官による取り調べ
検察官は、被疑者に対する取り調べを行い、被疑者の身柄拘束を継続するかどうかを検討します。
身柄拘束を継続する必要があると判断すると、検察官は、送致から24時間以内かつ逮捕から72時間以内に、裁判官に勾留請求を行います。
他方、勾留請求をしない場合には、その場で釈放となり、身柄事件から在宅事件に切り替わります。 -
(4)勾留されれば身柄拘束が継続する
裁判官は、被疑者に対する勾留質問を行い、被疑者の言い分を聞いた上で勾留を許可するかどうかの判断をします。
勾留が許可されれば、そこから原則として10日間の身柄拘束が行われ、勾留延長も許可されるとさらに10日間の身柄拘束が行われます。 -
(5)不起訴処分や起訴猶予処分であれば身柄が解放される
検察官は、最終的に事件を起訴するか不起訴にするかの判断をします。
不起訴処分になれば、その時点で釈放され、前科が付くこともありません。 -
(6)起訴されると刑事裁判の手続きが開始される
検察官により起訴されると刑事裁判の手続きが開始されます。
なお、窃盗罪の場合、「公判請求」という正式な裁判手続きと「略式請求」という簡易・迅速な手続きで罰金刑を科す2種類の手続きがあります。
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3、窃盗の罪を軽くする方法は?
窃盗の罪を軽くするにはどのような方法があるのでしょうか。以下では、窃盗罪を犯してしまったときにできる罪を軽くする方法を説明します。
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(1)自首する
自首とは、捜査機関に犯罪の発覚前または犯人が誰であるかが判明する前に、自ら犯罪事実を申告して処分に服することをいいます。
自首は、法律上の任意的な刑の減軽事由として定められていますので、自首が成立すれば起訴されたとしても罪が軽くなる可能性があります。また、自首をすることで逃亡・証拠隠滅の意思がないということを示せるため、逮捕されるリスクを軽減するという事実上の効果も期待できます。 -
(2)被害者との示談を成立させる
窃盗罪で罪を軽くするために重要になるのが被害者との示談です。
被害者との示談により被害者に生じた財産的な損害を回復することができれば、逮捕や起訴を回避することができ、起訴されたとしても執行猶予が付く可能性が高くなります。
特に、窃盗罪では金銭的な損害を補填してくれれば刑事処分までは希望しないというケースも多いため、早期に被害者との示談を成立させることができれば、罪を軽くできる可能性が高くなるでしょう。 -
(3)弁護士に相談する
窃盗の罪を軽くしたいとお考えの方は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
刑事事件に強い弁護士であれば、罪を軽くするためのポイントを熟知していますので、具体的な状況に応じた最適な手段をアドバイスしてもらうことができます。また、弁護士に窃盗罪の刑事弁護を依頼すれば、罪を軽くするためのサポートが受けられますので、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるでしょう。
4、窃盗して不安な方は弁護士に相談を
窃盗罪にあたる行為をしてしまい今後が不安だという方は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
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(1)示談交渉のサポートを受けられ、早期解決を目指せる
窃盗罪で罪を軽くするには被害者との示談が重要になりますが、加害者本人が示談交渉をしても受け入れてもらえないケースも少なくありません。
弁護士は被害者の代理人として示談交渉を行うことができます。加害者本人による示談交渉を拒否する被害者でも弁護士が窓口になれば応じてくれる可能性がありますので、弁護士による示談交渉により早期解決を目指しやすくなります。 -
(2)前科をつけないように不起訴に向けて働きかけてくれる
窃盗罪で起訴されてしまうとほとんどの事件が有罪になりますので、罰金刑や執行猶予付きの判決であっても前科が付いてしまいます。
前科が付くことで今後の生活にさまざまな支障が生じる可能性があるため、前科を回避するなら不起訴処分を獲得することが重要です。
早期に弁護士に依頼すれば、検察官が起訴・不起訴の判断をする前に効果的な弁護活動を行うことができますので、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。 -
(3)刑罰を軽くできる可能性がある
前科があり、被害金額が高額な事案になると不起訴処分の獲得が難しいケースもあります。そのような場合でも弁護士は、反省文の作成サポート、再発防止策の提示、情状弁護などを行うことで、刑罰を軽くし、執行猶予を獲得するために尽力します。
実刑になり刑務所に収監されるのと執行猶予が付いて通常の社会生活を送れるのとでは、本人に生じる不利益が大きく変わってきますので、少しでも刑罰を軽くしたいなら早めに弁護士に相談することが大切です。
5、まとめ
窃盗の罪の重さは初犯であっても、盗んだものの価値や犯行の状況が悪質であれば、実刑になる可能性があります。窃盗の罪を軽くするためには、自首する・被害者との示談を成立させることが重要です。
弁護士に相談すれば、示談成立に向けたサポートや不起訴に向けたアドバイスが期待できますので、窃盗罪を犯してしまった方は、なるべく早くにベリーベスト法律事務所 大分オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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