土地の評価で相続争いになっているときの対処法と注意点を弁護士が解説
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厚生労働省が公表した、令和6年の人口動態統計月報年計によると、大分県では5,957名が出生し、16,789名が亡くなりました。
親族など身近な方が亡くなり、遺産分割協議をする際は、相続人同士が土地の評価額について争うケースがあります。
土地の評価方法は複数あるため、どの評価方法を選ぶかで意見が対立しがちです。そのため、弁護士のサポートを受けながら、できる限り相続人全員が納得できる解決策を探しましょう。
本記事では、相続財産である土地の評価方法や、土地評価に関する争いについて弁護士に相談するメリットなどを、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。
参考:「令和6年人口動態統計(確定数)大分県の概況」(大分県ホームページ)
1、遺産分割協議で土地の評価額が争われる理由
遺産分割協議では、土地の評価額を巡って相続人同士が対立するケースが見受けられます。土地の評価額が問題となるのは、主に「代償分割」を行う場合です。
代償分割では、一部の相続人が土地を取得する代わりに、ほかの相続人に対して金銭(=代償金)を支払います。その際、代償金の金額については、土地の評価額を基に決めるのが一般的です。
土地を取得する相続人は、支払う代償金の額を抑えるために、土地について低い評価額を主張する傾向にあります。反対に、土地を取得しない相続人は、できる限り多くの代償金を得るために、土地について高い評価額を主張することが多いでしょう。
このように、土地を取得する人と取得しない人の間で利害が対立するため、しばしば土地の評価額を巡る争いが発生してしまいます。
2、相続財産である土地の主な評価方法
遺産分割を行う際、土地をどのような方法で評価するかは、相続人全員の話し合いで決めましょう。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停・審判を通じて決めることになります。
相続財産である土地の主な評価方法は、以下のとおりです。
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(1)相続税評価額を用いる
相続財産である土地を客観的に評価する方法のひとつが、相続税評価額を用いる方法です。
相続税評価額とは、相続税の計算で計上すべき遺産などの金額です。土地の相続税評価額は、以下のいずれかの方法によって計算します。① 路線価方式
国税庁によって路線価が公表されている土地(主に市街地)については、以下の式によって相続税評価額を計算します。
相続税評価額=路線価×補正率×地積
路線価は、国税庁のホームページに掲載されている「財産評価基準書」によって確認できます。また、形状から使い勝手が悪いと考えられる土地については、1.00未満の補正率をかけることで相続税評価額が減額されます。
参考:「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」(国税庁)
② 倍率方式
路線価が公表されていない土地のうち、宅地については以下の式によって相続税評価額を計算します。
相続税評価額=固定資産税評価額×評価倍率
固定資産税評価額は、市区町村役場で取得できる固定資産評価証明書によって確認可能です。評価倍率は、路線価と同じく財産評価基準書によって確認できます。
③ 宅地比準方式
路線価が公表されていない土地のうち、評価倍率表において「比準」「市比準」「周比準」のいずれかが記載されているものについては、以下の式によって相続税評価額を計算します。
相続税評価額=(その土地が宅地であると仮定した場合の1平方メートル当たりの価額-1平方メートル当たりの宅地造成費の金額)×地積
相続税評価額は客観性があり、比較的手軽に計算できるため、遺産分割での土地の評価方法としてよく用いられています。
ただし、相続税評価額は、土地の実勢価格よりもやや低く抑えられる傾向にあります。土地を取得せず、代償金を受け取る立場の方は、後述の評価方法を主張していきましょう。 -
(2)公示地価を用いる
公示地価も、相続財産である土地を客観的に評価する方法のひとつです。
公示地価とは、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公示している土地の価格です。適正な地価の形成に役立てることを目的として公示されています。
公示地価を用いた土地の評価額の算定式は、以下のとおりです。土地の形状によっては、補正率を適用して評価額を減額することもあり得ます。評価額=公示地価×地積
公示地価は、国土交通省のウェブサイトで確認できます。
参考:「地価公示」(国土交通省)
実勢価格よりも低く抑えられがちな相続税評価額と異なり、公示地価を用いると、実勢価格に近い土地の評価額を計算することが可能です。そのため、遺産分割において土地を評価する際に便利な指標といえるでしょう。 -
(3)不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する
遺産分割に伴う土地の評価は、不動産の評価を専門的に取り扱う不動産鑑定士に依頼することもできます。不動産鑑定士は、さまざまな角度から不動産の状態を調査し、評価額の計算過程や結果を鑑定評価書にまとめることが可能です。
不動産鑑定士に依頼することのメリットは、土地の個別事情を考慮したうえで評価を行える点です。
相続税評価額や公示地価を用いた評価の方法は画一的であるため、土地の実態を必ずしも反映しているとは限りません。土地の形状が特殊である、建物が存在するなどの事情がある場合には、不動産鑑定士に依頼するのがよいでしょう。
ただし、不動産鑑定士に土地の評価を依頼する場合は、数十万円程度の費用がかかる点にご注意ください。 -
(4)不動産業者に査定を依頼する
実態を反映した土地の評価額を手軽に知りたいなら、不動産業者に査定を依頼する方法もあります。
不動産業者に連絡をすると、たいていの場合は土地の査定を無料で行ってもらえます。複数の不動産業者に査定を依頼すれば、土地の実勢価格が大まかに分かるでしょう。
ただし、不動産業者の査定は売却仲介の依頼を勧誘する目的で行われるため、実勢価格よりも高めの金額が出るケースがある点にご注意ください。
お問い合わせください。
3、遺産分割における土地の分け方|メリット・デメリットも解説
遺産分割として土地を分ける方法には、「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の4つがあります。それぞれメリットとデメリットがあり、優劣はありません。相続人同士でよく話し合い、自分たちのケースで納得しやすい方法を選択しましょう。
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(1)現物分割
「現物分割」は、土地を分筆したうえで物理的に分ける方法です。分筆とは、ひとつの土地を複数の土地に分けて登記簿へ登録し直す手続きです。
【メリット】
- 複数の相続人が土地の取得を希望している場合に、その希望をかなえられる
- 思い入れのある土地を手放さずに済む
【デメリット】
- 土地の形状によっては、公平に分けるのが難しい場合がある
- 土地の面積が小さくなりすぎると、使い勝手が悪くなる
- 分筆に費用がかかる
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(2)代償分割
「代償分割」は、先述のとおり、一部の相続人が土地を取得する代わりに、ほかの相続人に対して金銭(=代償金)を支払う方法です。
【メリット】
- 土地の取得を希望する相続人と、お金が欲しい相続人の利害が一致する
- 思い入れのある土地を手放さずに済む
【デメリット】
- 土地の取得を希望する相続人は、代償金を用意する必要がある(用意できない場合は難しい)
- 土地の評価額を巡って争いが生じるケースがある
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(3)換価分割
「換価分割」は、土地を売却して得た代金を相続人の間で分ける方法です。
【メリット】
- 管理の難しい土地を手放すことができる
- 売却代金を1円単位で公平に分けることができる
【デメリット】
- 思い入れのある土地を手放さなければならない
- 立地によっては買い手が付かないことがある
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(4)共有分割
「共有分割」は、土地を複数の相続人で共有する方法です。
【メリット】
- 遺産分割の話し合いがまとまらない場合の妥協案になる
【デメリット】
- 共有者間でトラブルが発生するおそれがある
- 売却や賃貸をスムーズに行えないことがある
4、相続で土地評価に争いがある時に、弁護士へ相談するメリット
相続人同士で土地の評価について争いが生じてしまったら、速やかに弁護士へ相談しましょう。
土地評価の争いについて弁護士に相談することには、主に以下のメリットがあります。
- 複数の評価方法から、適切な方法を提案できる
- 相続手続きの期限を守れるように、迅速に対応できる
- 対立している相続人の間に入り、冷静に話し合いができるようサポート可能
- 話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停や審判の手続きを代行できる
- 相続完了後のトラブルを予防するための方法についても、アドバイスできる
弁護士のサポートを受けることにより、土地評価に関する争いの解決が大きく近づきます。土地を巡る遺産分割トラブルが起こってしまったら、早い段階で弁護士にご相談ください。
お問い合わせください。
5、まとめ
遺産分割の場面で土地評価について争いが生じたら、弁護士のサポートを受けて解決を図りましょう。
土地評価の方法にはさまざまなパターンが考えられます。弁護士であれば、家庭の状況やお客さまの立場に応じた適切な評価方法をアドバイス可能です。
ベリーベスト法律事務所は、遺産相続に関するご相談を随時受け付けております。土地の評価を巡る複雑な争いについても、経験豊かな弁護士がノウハウを活かして対応し、スムーズかつ適切な形で解決へと導きます。
土地の遺産分割方法や評価を巡って、相続人同士のトラブルが発生して悩んでいる方は、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスへご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
