兄弟まとめて相続放棄をすることはできる? メリットや注意点を解説

2026年01月07日
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兄弟まとめて相続放棄をすることはできる? メリットや注意点を解説

裁判所が公表している司法統計によると、令和6年(2024年)に大分家庭裁判所に申し立てのあった相続放棄の申述事件は、2927件でした。

被相続人に多額の借金があるような場合には、相続放棄を検討することになります。相続放棄の手続きは各相続人が単独で行うことができますが、複数の相続人がいる場合には、兄弟まとめて相続放棄をすることも可能です。

本コラムでは、兄弟まとめて相続放棄をすることのメリットや注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。


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1、兄弟まとめて相続放棄できるのか?

まず、相続放棄という制度の概要や、兄弟まとめて相続放棄することができるのかどうかについて解説します。

  1. (1)相続放棄とは

    相続放棄とは、遺産相続に関する一切の権利や義務を放棄する手続きです。
    相続が発生すると被相続人に属した権利や義務は、すべて相続人に承継されます。

    これにより、現金、預貯金、不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や負債などのマイナスの財産も相続人に引き継がれることになります

    しかし、被相続人に多額の借金があるような場合には、相続をするメリットがほとんどありません。

    このような場合に利用されるのが相続放棄の手続きです。
    相続放棄をすることで、借金などのマイナスの財産を引き継ぐ必要がなくなるため、相続により借金を負うといった事態を回避することができます。

  2. (2)兄弟まとめて相続放棄することも可能

    被相続人に多額の借金があり相続放棄を検討している場合、他の相続人も同じように考えている可能性が高いでしょう。
    このような場合には、兄弟まとめて相続放棄することも可能です

    ただし、まとめて相続放棄ができるのは、配偶者および同順位の相続人に限られます。

    相続が発生した場合の法定相続人および相続順位は、民法により以下のように定められています。

    • 第1順位:子どもまたはその代襲者(孫など)
    • 第2順位:父母(父母がいない場合は祖父母)
    • 第3順位:兄弟姉妹またはその代襲者(甥・姪)
    • 配偶者は常に相続人になる


    たとえば、被相続人に3人の子どもがいた場合には、子どもらは第1順位の相続人としてそれぞれ同順位の相続人になります。
    このような場合には、兄弟まとめて相続放棄することができるのです。

2、兄弟まとめて相続放棄するメリットはあるの?

以下では、兄弟まとめて相続放棄をすることのメリットを解説します。

  1. (1)提出する書類が少なくなる

    相続放棄をする際には、以下の書類を家庭裁判所に提出しなければなりません。

    • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
    • 申述人の戸籍謄本
    • 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本


    また、相続人と被相続人との関係によっては上記の書類以外にも被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などの提出が必要になることもあります。

    相続放棄を兄弟まとめて行う場合には、共通する書類は1通だけ提出すれば足りるため、書類を収集する手間と費用を抑えることができるのです。

  2. (2)兄弟姉妹間の相続トラブルを回避できる

    兄弟姉妹のうちひとりが相続放棄をすると、被相続人の借金は、残された相続人で負担しなければなりません。

    相続放棄には期限がありますので、相続放棄という制度があることを知らない相続人がいる場合には、期限の経過により相続放棄ができなくなってしまいます

    このような事態になると、相続放棄をした相続人と相続放棄ができなかった相続人との関係性が悪化して、相続トラブルが発生するおそれもあるでしょう。

    兄弟まとめて相続放棄をすれば、このようなトラブルを回避することができます。

  3. (3)専門家に依頼する場合の費用負担を抑えることができる

    相続放棄の手続きは、相続人自身で行うこともできますが、弁護士などの専門家に依頼して行うこともできます。

    その際には弁護士費用が発生しますが、兄弟まとめて相続放棄を依頼することで、ひとりあたりの費用負担を抑えることができます。

    相続人全員が相続放棄を考えている場合には、それぞれ別々の専門家に依頼するのではなく、全員まとめて依頼することをおすすめします

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3、兄弟まとめて相続放棄する場合の注意点

兄弟まとめて相続放棄をする際には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)相続財産に不動産や山林がある場合は管理義務が残る

    相続放棄をしたとしても、他の相続人が相続財産の管理を始めるまでは、相続財産の管理を継続する義務を負っています。

    また、後順位の相続人も含めてすべての相続人が相続放棄をすると、遺産を相続する人が誰もいない状態になります。

    この場合には、相続財産管理人に相続財産を引き渡すまでは相続財産の管理を継続しなければなりません。

    相続財産に不動産や山林などが含まれている場合には、兄弟まとめて相続放棄をした後も、空き家の倒壊を防ぐための補強や草木の伐採などの管理を続けていく必要があります

  2. (2)次の相続順位の相続人に知らせる

    被相続人の子どもたちが兄弟まとめて相続放棄をすると、同順位の相続人が誰もいない状態となるため、相続権は、次順位の相続人に移ることになります。

    しかし、先順位の相続人が相続放棄をしたという情報は、裁判所から通知されることはありません。
    そのままの状態では、後順位の相続人は自分に相続権が移ったことを知る機会がないため、兄弟まとめて相続放棄をしたことを後順位の相続人に連絡してあげたほうがよいでしょう。

  3. (3)相続放棄には期限がある

    相続放棄をする場合には、原則として、相続開始を知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述を行わなければなりません。この期間を「熟慮期間」といいます。

    熟慮期間の起算点は、「相続開始を知ったとき」になりますので、相続人によって熟慮期間の起算点が異なる場合もあります

    たとえば、被相続人と同居している相続人であれば被相続人の死亡日が熟慮期間の起算点になりますが、家族と疎遠な相続人であれば親族からの連絡で被相続人の死亡を知ったときが熟慮期間の起算点になるのです。

  4. (4)相続放棄が認められるかは個別に判断される

    兄弟まとめて相続放棄の申述をしたとしても、相続放棄が認められるかどうかは、相続人ごと個別に判断されます。

    たとえば被相続人の遺産を少しでも使ってしまったという場合には、法定単純承認事由に該当するため、相続放棄が認められなくなるのです。

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4、相続放棄は弁護士に相談

相続放棄を検討されている方は、弁護士に相談することをおすすめします

  1. (1)複雑な手続きを一任できる

    相続放棄をするためには、相続放棄申述書を作成して、必要書類を裁判所に提出しなければなりません。

    初めて相続放棄の手続きをする場合には、書類の不備や不足などにより、スムーズに手続きを進めることができない可能性も高いでしょう。

    弁護士に依頼すれば、複雑な手続きであってもすべて弁護士に任せることができます。
    本人の負担はほとんどなくなるため、自分で手続きを進めるのが不安だという方は、弁護士に相続放棄の手続きを依頼するとよいでしょう。

  2. (2)期限内に正確な対応ができる

    相続放棄をする場合には、原則として、相続開始を知ったときから3か月以内という期限があるため、期限内に手続きを行う必要があります。

    しかし、相続放棄をするかどうかは、相続財産に関する情報がなければ適切に判断することができません。
    また、相続放棄の前提として、相続財産調査も必要になります。

    不慣れな方が手続きを進めても、相続財産調査に漏れがあったり、期限内に調査を終えることができなかったりするなどのトラブルが生じる可能性があります

    期限内に正確な対応をするためにも、相続が発生した場合は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

  3. (3)状況に応じた最適な手続きを選択できる

    被相続人に借金があったとしても、相続放棄だけが選択肢ではありません。
    借金があったとしてもプラスの財産が上回る状況であれば単純承認したほうがよい場合もあります。
    また、借金があるかどうかわからないという場合には限定承認をしたほうがよい場合もあるのです。

    どのような方法をとるべきかは、具体的な状況によって異なってきます。
    最適な手続きを選択するためにも、まずは弁護士にご相談ください。

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5、まとめ

相続放棄をする際には、兄弟まとめて相続放棄をすることも可能です。
兄弟まとめて相続放棄をすることで書類収集の負担や費用負担を抑えることができるというメリットもありますので、相続放棄をお考えの方は、他の兄弟姉妹にも連絡してみるとよいでしょう。

ただし、兄弟まとめて相続放棄をする際には、いくつか注意すべきポイントもあるため、それらをしっかりと理解したうえで手続きを進めていくことが大切です

相続放棄を検討されている方は、まずはベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています