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労災の治療終了後に行う手続き|まだ通院したいときにすべきこと

2024年03月28日
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労災の治療終了後に行う手続き|まだ通院したいときにすべきこと

2022年(令和4年)に大分県内で発生した労災(労働災害)は1303件でした。

労災によるケガや病気の治療が終了した後は、労災保険給付の請求や会社に対する損害賠償請求を行うことを検討しましょう。ただし、医師に「治癒」と診断された後にも治療を継続したい場合は、治療費をカバーする療養補償給付が打ち切られること注意する必要があります。治療を継続するかどうかも含めて、医師や弁護士の意見を聞いたうえで適切に判断することが大切です。

本コラムでは、労災の治療終了後に行うべき手続きや、治癒と診断された後も引き続き通院したい場合にすべきことなどについて、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。

1、労災の治療終了後に行うべき手続き

労災によるケガや病気の治療は、医師による「治癒(症状固定)」の診断を受けた時点で終了となります。
労災の治療が終了したら、被った損害について、労災保険給付や会社に請求することを検討しましょう。

  1. (1)労災保険給付の請求

    労災に遭った労働者またはその遺族は、以下のような労災保険給付を請求できます。

    ① 療養(補償)給付
    労災病院または労災保険指定医療機関にて、ケガや病気の治療を無償で受けられます。その他の医療機関で治療を受ける場合は費用全額を立て替える必要がありますが、その後に請求すれば治療費全額の償還を受けられます。

    ② 休業(補償)給付
    労災によるケガや病気が原因で仕事を休んだ場合、休業4日目以降、平均賃金の80%(正確には、休業(補償)給付の60%に休業特別支給金の20%を加えたもの)が補償されます。

    ③ 障害(補償)給付
    労災によるケガや病気が完治せずに後遺症(後遺障害)が残った場合は、傷害等級に応じて年金または一時金が給付されます。

    ④ 遺族(補償)給付
    被災労働者が死亡した場合は、遺族が生活保障のための給付を受けられます。

    ⑤ 葬祭料(葬祭給付)
    被災労働者が死亡した場合は、遺族が葬儀費用に充てるための給付を受けられます。

    ⑥ 傷病年金
    傷病等級第3級以上のケガや病気が1年6か月以上治らない場合に給付されます。労働基準監督署長の職権によって休業給付からの切り替えが行われるため、傷病年金の請求は不要です。

    ⑦ 介護(補償)給付
    障害等級第1級に当たる障害、または第2級に当たる精神・神経障害および腹膜部臓器の障害が残り、現に介護を受けている場合には、介護費用に充てるための給付を受けられます。


    療養の給付については労災病院または労災保険指定医療機関の窓口へ、その他の労災保険給付については事業場の所在地を管轄する労働基準監督署へ、それぞれ書類を提出して請求を行います(傷病年金の請求は不要)。
    請求に必要な書類などについては、窓口担当者に確認してください。

  2. (2)会社に対する損害賠償請求

    労災について会社に安全配慮義務違反(労働契約法第5条)または使用者責任(民法第715条第1項)が存在する場合には、会社に対して損害賠償を請求することもできます

    会社の損害賠償責任は労災保険によってカバーされますが、労災保険給付は損害額に及ばないケースが大半です
    この場合、不足額を支払う責任は会社が負うため、被災労働者は会社に対して損害賠償を請求できます。
    会社に対して損害賠償を行う場合には、金額の算出や会社との交渉などを弁護士に依頼することも検討してください。

2、まだ労災の症状が残っているときにすべきこと

以下では、労災によるケガや病気の症状が残っている段階でとるべき対応を解説します。

  1. (1)治癒(症状固定)かどうかを医師に確認する

    労災によるケガや病気の治療は、医師による「治癒(症状固定)」の診断によって終了します。

    「治癒(症状固定)」とは、治療を継続しても症状の改善が見込めないと医学的に判断される状態です。
    治癒と診断されて以降は、労災保険給付のうち療養給付と休業給付が打ち切られることになります。
    したがって、まずは治癒に至っているかどうかを医師に確認して、治療を継続するかどうかを決定する必要があるのです

  2. (2)治癒していなければ通院を継続する

    まだケガや病気が治癒していない場合は、通院を継続しましょう。

    ケガや病気の症状を改善することに加えて、適正額の労災保険給付や損害賠償を受けるためにも、医師の指示に従って通院する必要があります。
    医師の指示を無視して、途中で通院を止めてしまわないようにしてください

  3. (3)治癒後の治療を受けるかどうかは慎重に判断する

    ケガや病気が治癒したと医師に診断された場合は療養給付が打ち切られるため、その後の治療費は自己負担となります
    また、医師の診断が適切である限り、治癒後に治療を継続したとしてもケガや病気の症状の改善は期待できません。

    治癒と診断されて以降も治療を継続するかどうかは、コストとリターンのバランスを考慮したうえで、慎重に判断することをおすすめします。

  4. (4)損害賠償請求について弁護士に相談する

    労災保険から給付される金額は、被災労働者の受けた実際の損害額に及ばないことが一般的です。
    したがって、労災について会社に責任がある場合には、会社に対して損害賠償を請求することも検討しましょう

    実際に損害賠償請求を行うのは治癒と診断されて以降になりますが、早い段階で弁護士に相談しておくことで、損害賠償の見込み額を計算したり、手続きの流れなどについてアドバイスを受けたりすることができます。
    労災の損害賠償請求を検討されている方は、まだ治療中の段階でも、いちど弁護士に連絡することをおすすめします

3、治癒と診断されても治療を続けたい場合にすべきこと

以下では、医師によって治癒の診断がされた後にも引き続き治療を受けたい場合にとるべき対応を解説します。

  1. (1)別の医師にセカンドオピニオンを求める

    そもそも、医師による治癒の診断が誤っている可能性もあります。
    そのため、他の医師にセカンドオピニオンを求めれば、まだ治癒していないと診断される場合もあるのです。

    治癒していない旨のセカンドオピニオンが得られれば、療養給付等の打ち切りに関する不服申立てにも利用することができます。
    治癒の診断に納得できない場合は、別の医師に意見を求めてみましょう

  2. (2)療養給付等の打ち切りについて不服を申し立てる

    医師による治癒の診断が誤っていたと思われる場合には、療養給付等を打ち切る労働基準監督署長の決定について不服申立てを行いましょう。

    労災保険給付に関する不服申立ては、以下の方法により、原則として、それぞれに対応する期限までに行う必要があります。

    ① 労働者災害補償保険審査官に対する審査請求
    労災保険給付に関する決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内

    ② 労働保険審査会に対する再審査請求(審査請求に対する決定に関する異議申立て)
    労働者災害補償保険審査官から決定書の送付を受けた日の翌日から起算して2か月以内

    ③ 行政事件訴訟法に基づく取消訴訟(審査請求を先行させる必要あり)
    労働者災害補償保険審査官の決定があったことを知った日から6か月以内又は審査請求の結果があった日から1年


    不服を申し立てる際には、療養給付等を打ち切る決定が不適切であることを、医師の診断書などに基づいて説得的に主張しなければなりません。
    弁護士のサポートを受けながら、慎重に準備を整えましょう。

  3. (3)傷病が再発したら、労災保険給付を再請求する

    いったん治癒の状態に至っても、その後傷病が再発した場合は、労災保険給付を再び請求することができます。

    改めて医師の診断を受けたうえで、該当する労災保険給付を労働基準監督署へ請求を行いましょう。

4、労災保険で穴埋めされない損害は会社に請求可能|弁護士に相談を

労災保険給付が不十分であり、実際の損害額に及ばない場合は、会社に対する損害賠償請求を検討しましょう。
また、会社に対して損害賠償を請求する際には、弁護士に依頼することをおすすめします

弁護士であれば、安全配慮義務違反や使用者責任に基づく会社の責任を法的に説得力のある論理によって主張して、適正額の損害賠償の獲得をサポートすることができます。
必要な手続きの大部分も弁護士が代行するため、被災労働者は治療やリハビリなどに専念できるでしょう。

5、まとめ

労災によるケガや病気の治療は、医師による治癒(症状固定)の診断をもって終了します。治癒後も引き続き治療を受ける場合は、治療費などが自己負担となる点に注意しましょう。
また、ケガや病気が治癒した後は、労災保険給付の請求や会社に対する損害賠償請求を行うことも検討してください。
とくに会社に対して損害賠償を請求する際には、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、労災に関する被災労働者のご相談を承っております。
会社に対する損害賠償請求を検討されている方などは、まずはベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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