新婚なのに不倫された場合の対処法や、慰謝料請求の注意点
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大分市が公表している人口動態統計によると、令和2年の大分市内の婚姻件数は2138組であり、前年と比べて251組減少しています。とはいえ、大分市内でも、毎年多くの新婚カップルが誕生していることがうかがえます。
しかし、新婚であるにもかかわらず、不倫をしてしまう人もいます。もし、新婚であるにもかかわらず相手に不倫をされてしまった場合には、結婚生活を続けるのではなく離婚するという選択肢も検討することになるでしょう。
本コラムでは、新婚なのに不倫された場合の対処法や、慰謝料を請求する際の注意点について、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。
1、新婚なのに不倫をするのはなぜ?
これから楽しい新婚生活が始まるというのに、なぜ不倫をしてしまう人がいるのでしょうか?
以下では、新婚なのに不倫してしまう理由の例を解説します。
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(1)結婚前から浮気していた
結婚前から別の異性と付き合っていて、結婚後も関係が続いているというケースがあります。
結婚前から交際していた異性と関係が切れずに、ずるずる付き合い続けて、新婚でも不倫をするということです。
単なる男女交際であれば、複数の異性と交際をしていたとしても、それのみを理由としてただちに損害賠償請求などが認められることはありません。しかし、結婚後に配偶者以外の者と性的な関係を持つことは不貞行為にあたり、民法上の不法行為になるのです(なお、結婚前であっても、内縁関係や婚約の成立が認められるような場合には、そのパートナー以外の者と性的な関係を持つことで不貞行為が認められる場合があります)。 -
(2)既婚者という意識の低さ
結婚をしたにもかかわらず、「自分は既婚者である」という意識の低さから不倫をしてしまうことがあります。
結婚して間もない時期だと、独身時代と意識がほとんど変わらず、友人や同僚などに誘われて合コンなどに参加してしまう人もいます。
そこで、気になる異性に出会ってしまうと、既婚者であることを忘れて不倫をしてしまう場合があるのです。
結婚して時間が経てば、子どももできて「自分は既婚者である」という意識が強くなるはずですが、まだまだ独身時代の気分が抜けないこと新婚のタイミングで不倫をしてしまう、ということです。 -
(3)結婚によるストレスやプレッシャー
同棲を経験せず、結婚と同時に共同生活を始めた場合には、結婚前に比べて配偶者と一緒に生活をする時間が増えることになります。
独身時代は休日だけ一緒の時間を過ごしていたカップルが常に一緒の空間にいるとなると息苦しさを感じたり、相手に対して不満を抱いたりすることもあるでしょう。
このような結婚によるストレスやプレッシャーが重なることで、ストレスを解消するために配偶者以外の異性と不倫をしてしまう人がいるのです。
2、不倫された場合の対処法
新婚であるにもかかわらず配偶者に不倫をされてしまったという場合には、以下のような対処法が考えられます。
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(1)関係修復に向けた話し合い
配偶者の不倫が発覚した場合には、今後どうしていくのかについて、配偶者と一緒に話をしていく必要があります。結婚をしたばかりであり、相手も反省をしているのであれば、今後も結婚生活を続けていくということも一つの選択肢になるでしょう。
もっとも、簡単に不倫を許してしまっては、また相手が同じような行動に出るおそれもあります。
再び不倫をした場合にはどのようなペナルティがあるのかを「念書」などの書面に残しておくとよいでしょう。 -
(2)不倫相手に対する慰謝料請求
離婚をする場合はもちろんのこと、離婚をしない場合であっても、不倫相手に対して不倫慰謝料の請求をすることは可能です。
配偶者と不倫相手との関係を清算してもらうためにも、慰謝料請求によって経済的な制裁を与えることも必要となる場合があるでしょう。
ただし、離婚をしない場合には、慰謝料の支払いをした不倫相手から不倫をした配偶者に対して「求償権」が行使されて、不倫相手の支払った慰謝料の一部を請求される可能性があります。
夫婦の財布が同じであれば、不倫相手から受け取ったお金から不倫相手にお金を支払うことになってしまいますので、不倫相手に対して慰謝料請求をする場合には、求償権を放棄してもらうことも条件に加えるとよいでしょう。 -
(3)離婚
「新婚なのに不倫をするなんて許せない」と考える場合には、離婚を検討することになります。
新婚であれば、子どもがいないことも多いため離婚をするかどうか決めるにあたってのハードルは低くなります。
また、夫婦でともに築いた財産もほとんどないはずなので、財産分与で揉めることも少ないでしょう。
そのため、新婚の離婚については、比較的スムーズに進めることができる場合が多いといえます。
3、慰謝料請求をする際の注意点
不倫を理由として慰謝料を請求する場合には、以下の点に注意してください。
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(1)不貞行為を裏付ける証拠が必要
不倫を理由に慰謝料請求をする場合には、不倫をしたことを裏付ける証拠が必要になります。
証拠がない状態で、不倫を問い詰めたとしても、相手が認めなければ不倫の事実がうやむやになってしまいます。
そのため、不倫の疑いを抱いた場合には、相手に対して不倫を問い詰める前に、しっかりと証拠を集めることが大切です。
不倫の証拠としては、性行為に及んでいる動画や写真が直接的な証拠となりますが、そのような証拠を残していることは少ないでしょう。
直接的な証拠がなかったとしても、以下のような間接証拠を積み重ねることによって、不貞行為を証明できる場合があります。- ホテルや不倫相手の自宅に出入りする動画や写真
- 不倫相手と二人きりで旅行に行った際の動画や写真
- ホテルや旅館の領収書
- 親密なやり取りをしているメール、LINEなどのメッセージ
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(2)慰謝料の金額はさまざま要素によって決まる
不倫慰謝料の金額は、当事者同士の話し合いによって決めることができますが、あまりにも相場からかけ離れたような金額を請求してしまうとスムーズな解決が難しくなります。
不倫慰謝料の金額は、主に、以下の要素を踏まえて決めることになります。- 夫婦の婚姻期間、子の有無、子の年齢等の夫婦間の関係
- 不貞関係が始まった段階での夫婦関係
- 不貞関係が始まった経緯
- 不貞行為の期間や回数、その内実
- 不貞関係を知ってからの態度
- 不貞関係による夫婦生活への影響
不倫慰謝料の金額には、明確な計算方法があるわけではありません。
どのくらいの金額を請求すればよいのかについては、専門家である弁護士に相談してみるとよいでしょう。 -
(3)不倫相手と配偶者から慰謝料の二重取りはできない
不倫をされた場合には、不倫をした配偶者と不倫相手の双方に対して、慰謝料請求をすることができます。
しかし、双方に対して慰謝料請求ができるといっても、慰謝料の二重取りをすることができるわけではない点に注意してください。
たとえば、不倫の慰謝料として200万円が請求できるケースでは、不倫をした配偶者と不倫相手の双方に200万円を請求することができます。
しかし、受け取ることができる慰謝料の金額は200万円が限度となりますので、不倫した配偶者と不倫相手の双方から200万円ずつ合計400万円を受け取ることができるわけではありません。
4、離婚・慰謝料請求は弁護士に相談を
離婚や慰謝料請求をお考えの方は、弁護士にご相談ください。
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(1)不倫の立証に必要な証拠のアドバイスをしてもらえる
不倫を理由に慰謝料請求をする場合や不倫を理由に離婚する場合には、相手が不倫をしたことを立証するための証拠が必要になります。
直接的な証拠がない場合には、間接証拠を積み重ねることによって、不倫の事実を証明していくことになりますが、法律に関する知識や経験がない方ではどのような証拠が必要になるのかを判断するのは難しいでしょう。
弁護士であれば、不倫の立証に必要な証拠について的確に判断することができます。 -
(2)配偶者や不倫相手との対応を任せることができる
離婚や慰謝料請求をする場合には、まずは、配偶者や不倫相手と話し合いをしていく必要があります。
不倫をした当事者と話をすることは、精神的な負担も大きいことから、ひとりで対応するのが難しい場合もあります。
弁護士に依頼すれば、配偶者や不倫相手との対応をすべて任せることができます。 -
(3)有利な条件で合意できる可能性が高くなる
新婚で不倫をされた場合の離婚では、主に不倫慰謝料や離婚慰謝料が争点となります。
慰謝料は、明確な金額の算定基準があるわけではなく、さまざまな要素や過去の裁判例などをふまえて、一定の相場となる金額を算出していく必要があります。
弁護士であれば、個別具体的な事情をふまえて、最も適切な慰謝料額を算出することができます。
したがって、ご自身で交渉するよりも、有利な条件で合意できる可能性が高くなるのです。
5、まとめ
これから楽しい新婚生活が始まるというのに、不倫をされてしまった場合には、相手を許せない気持ちでいっぱいになるでしょう。
関係を修復して結婚生活を続けるにしても、離婚をするにしても、慰謝料を請求するなどの方法で、不倫をしたことに対する制裁をしっかりと与えることが大切です。
離婚や不倫慰謝料の請求をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所大分オフィスまで、お気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています