不倫(浮気)を会社にバラされた! 適切な対処法を弁護士が解説
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大分県の発表している令和5年人口動態統計(確定数)資料によると、同年の大分県内の離婚件数は1695組で、前年より60組増加しました。
離婚原因のひとつに「浮気・不倫(不貞行為)」があげられますが、傷ついた配偶者が「浮気・不倫を会社にバラして制裁を与えたい」と考え、実際に行為に及ぶケースがあります。
今回は、会社に不倫をバラされた場合、法的に罰することはできるのか、解雇の可能性、対処法などについてベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。


1、不倫(浮気)を会社にバラされた場合、その相手に罰則はある?
不倫を会社にバラされた場合、バラしたときの行動次第では、刑事罰が成立する可能性や、慰謝料が請求できる可能性があります。
詳しくみていきましょう。
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(1)刑事罰が成立する可能性がある
「公然と浮気を言いふらした」「大勢の前で罵倒された」「会社の前で、大声でわめかれた」などの行動をとった相手に対しては、以下の罪に問える可能性があります。
- ① 名誉毀損罪
- ② 侮辱罪
- ③ 威力業務妨害罪
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
① 名誉毀損罪(刑法230条)
「名誉毀損罪」は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した者に対して成立する罪です。
「公然と」というのは不特定多数の人が認識できる状態のことで、「事実の摘示」は事実を提示し広めることを指します。
つまり、「会社の同僚」「取引先」などの不特定多数の人に対して「あの人は不倫をした」と不倫の事実を広めた場合、「名誉毀損罪」が成立する可能性が高いでしょう。
② 侮辱罪(刑法231条)
「侮辱罪」は、事実を摘示しなくても公然と人を侮辱した者に対して成立します。侮辱罪は、名誉毀損罪とは異なり「事実の摘示」は必要ありません。
つまり、会社の同僚や上司、取引先などの不特定多数に対して「不倫をした」事実はいわなくても、「最低な男」「淫乱女」「浮気相手と地獄に落ちろ」といった言葉でののしった場合、侮辱罪が成立する可能性があるのです。
③ 威力業務妨害罪(刑法234条)
「威力業務妨害罪」は、威力を用いて人の業務を妨害した者に対して成立します。
たとえば、会社の前や職場に押しかけて大声でわめき続け、顧客や仕事に支障が出た場合や、会社の人間に執拗に話しかけ続けて業務を妨害した場合、威力業務妨害罪に該当する可能性があるでしょう。 -
(2)慰謝料請求ができる可能性がある
名誉毀損罪や侮辱罪、威力業務妨害罪などに該当する行為をした相手には、慰謝料を請求できる可能性があります。慰謝料は、不法行為(名誉毀損罪などの犯罪行為)によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償として支払われます。
ただし一般には、高額の慰謝料は期待できません。慰謝料額としては10?50万円程度になることが多いでしょう。
損害賠償請求には証拠の提示や交渉が必要となるため、検討したい場合は、男女問題の実績がある弁護士に早めに相談することをおすすめします。
2、不倫(浮気)をバラした相手によって慰謝料請求の対応は変わる
不倫をバラした相手がどういう間柄の人なのかによって、慰謝料請求の対応が異なります。
不倫相手の配偶者や自身の配偶者、不倫相手本人の場合の対応をそれぞれみていきましょう。
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(1)不倫相手の配偶者
不倫相手に配偶者がいた場合、その配偶者から慰謝料請求をされるおそれがあります。
ただし、不倫相手の配偶者が会社に不倫をバラし、その行為が名誉毀損罪や侮辱罪などに該当した場合、「慰謝料減額」の交渉ができる可能性があります。
不倫の慰謝料相場は100?300万円、名誉毀損罪等に該当する行為の慰謝料相場は10?50万円で、相手に支払わなければならない慰謝料の金額の方が高額です。
そこで、相手の自身に対する慰謝料請求と、自身の相手に対する慰謝料請求を相殺する意味合いで減額交渉を行います。交渉は男女トラブルの解決実績がある弁護士のサポートを受けるのが得策です。 -
(2)自身の配偶者
自身の配偶者から慰謝料請求されるケースもあります。
自身の配偶者への慰謝料の金額の相場は「離婚をするかしないか」によって異なります。離婚する場合の慰謝料の相場は100?300万円、離婚しない場合の慰謝料の相場は50万円?100万円です。
一方「不倫相手の配偶者」の場合のときと同様に、自身の配偶者が会社にバラした行為が名誉毀損罪などに当たる場合の慰謝料相場は10?50万円になるため、それをもとに相手からの慰謝料の金額を減額するように求めることができます。
「離婚をするかしないか」で配偶者に支払わなければならない慰謝料金額は大きく異なることを留意しておきましょう。 -
(3)不倫相手本人
不倫相手本人が会社にバラす行為が名誉毀損罪などに該当する場合、相手に慰謝料を請求できます。
ただし、不倫相手が会社に不倫関係にある事実をバラしに来るということは、不倫相手との関係がこじれている場合が多いため、弁護士を挟んで冷静に話し合いを行った方が良いケースや、解決金の支払いを検討した方が良いケースもあるでしょう。
解決金は慰謝料とは異なり法的根拠のない金銭のため必ず支払わなければならないというわけではありません。しかし、解決金を支払うことで不倫相手との関係を穏便に終わらせられるケースもあるため、手切れ金の意味合いで解決金を支払うというのも有効でしょう。
3、不倫(浮気)を理由に会社を解雇されることはあるのか
原則、不倫が原因で会社を解雇になることはありません。ただし、例外的に解雇になるケースや、解雇にはならなくても処分を下されるケースがあります。
詳しくみていきましょう。
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(1)不倫では原則会社を解雇にならない
会社が従業員を一方的に解雇することを「懲戒解雇」といいますが、原則として不倫は懲戒解雇の原因にはなりません。
不倫はあくまでも私生活上の問題です。そのため、不倫をしただけでは原則会社を解雇されることはないでしょう。 -
(2)不倫で会社を解雇になるケース
不倫で会社を解雇になる例外的なケースを3つご紹介します。
① 不倫で業務に支障が出た
1つ目は不倫で業務に支障が出たケースです。
たとえば、社内不倫により部署の雰囲気が悪化した、不倫相手が優遇されて他の社員の士気が下がり業績が悪化した、などの場合は懲戒解雇になる可能性があります。
② 会社の名誉・信用を傷つけた
2つ目は会社の名誉・信用を傷つけたケースです。
たとえば、社内不倫が取引先企業に広まったり、不倫相手が取引先企業の社員だったりするケースでは会社の信頼関係が損なわれ、取引停止になるおそれがあります。
そのような場合は懲戒解雇になる可能性があるでしょう。
③ 会社のメールや会社の部屋を利用していた
3つ目は会社のメールや会社の部屋を利用していたケースです。
たとえば社内不倫でやりとりをする際に社内メールを利用していたケースや密会に会議室を使っていたケースは「会社施設管理権の侵害」や「職務専念義務違反」に該当します。
そのような場合も懲戒解雇になる可能性があります。 -
(3)会社から処分を下されるケース
会社に解雇されるケースをご紹介しましたが、これらのケースが必ず解雇になるわけではありません。
たとえば社内不倫で社内メールを使ってやりとりをしていた場合、懲戒解雇になる可能性もありますが、「戒告(注意)」「けん責(始末書の提出)」「減給」といった処分を下される可能性もあります。
4、不倫(浮気)を会社にバラされたときに弁護士ができること
不倫(浮気)を会社にバラされたときに弁護士に相談をすると、適切な対応を促してもらうことができます。
また、配偶者からの不倫慰謝料を請求された場合の対応や減額交渉をする場合の対応などの手続きを任せることも可能です。
さらに、前述の通り、原則不倫で会社を解雇されることはありませんが、不利益な処分を言い渡される場合もあります。その場合、弁護士に相談することで法的な観点からアドバイスを受けることもできるのです。
自身での交渉が難しい場合やどう対応をすればいいかお困りの場合には、まずは弁護士へ相談してみましょう。
お問い合わせください。
5、まとめ
不倫(浮気)を会社にバラされた場合は、名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。
また、その場合は相手に慰謝料請求や相手からの慰謝料請求の減額を交渉できるでしょう。
ただし、浮気をバラされた相手によって対応を変えなければならないため、弁護士に相談することがおすすめです。その際は、ぜひベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています