公務員が不倫していることがバレたら仕事への影響や処分は?
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2023年、大分県警は、所属の男性巡査が不倫発覚をおそれて捜査書類を破棄したとして、公用文書毀棄容疑で書類送検し減給6か月の懲戒処分にしました。
「不倫発覚をおそれて」とありますが、警察官や教師などの公務員の不倫が発覚すると処罰をされることはあるのでしょうか?
懲戒処分を回避する方法や、弁護士に相談すべき具体的ケースとあわせて、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説していきます。
1、公務員が不倫をしてバレたら処罰される?
公務員の不倫が職場にバレてしまった場合、何らかの処罰をされることはあるのでしょうか?
結論からいうと、基本的には処罰されません。なぜなら、国家公務員法と地方公務員法に規定されている「欠格事項」や「懲戒事由」に「不倫」は当てはまらないからです。
「欠格事項」とは国家公務員や地方公務員に就く資格を欠いてしまう条件のこと、「懲戒事由」とは懲戒処分の対象となる行為のことを指します。「懲戒処分」とは公務員の義務違反に対して科される処罰のことで、「免職」「停職」「減給」「戒告」の4種類あります。
職場にバレてしまったとしても、「不倫」は「欠格事項」と「懲戒事由」どちらにも含まれていないため、処罰されることがないのです。
ただし、勤務中の不倫に関係する行為は、処罰される可能性があります。たとえば勤務時間に業務用パソコンで不倫相手と連絡を取り合うケースや勤務時間に不倫相手と肉体関係を持つケースでは処罰の対象になる可能性があるでしょう。
また、公務員の中でも一部の職業では場合によって処罰される可能性があるため、次に詳しく解説していきます。
2、警察官や教師は、場合によって処罰される可能性も
公務員の不倫は勤務中の不倫に関する行為を除き、基本的には処罰の対象にはなりません。しかし、警察官や教師は処罰されるケースがあります。それぞれのケースをみていきましょう。
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(1)警察官のケース
警察庁が定める懲戒処分の指針には「公務の信用を失墜するような不相応な借財、不適切な異性交際等の不健全な生活態度をとること」は懲戒処分の対象になると規定されています。
「不倫」は「不適切な異性交際等の不健全な生活態度」に該当すると解釈できるのです。
実際に、2022年、不倫によって警察官が懲戒処分を受けた事例があります。当該警察官が事件関係者の女性と不倫をして警察の信用を失墜させたとして、県警から懲戒処分となりニュースで報じられました。
ケース・バイ・ケースではありますが、警察官は「不倫」をすると処罰をされる可能性が否定できません。 -
(2)教師のケース
教師は不倫相手が「児童・生徒」や「保護者」の場合、懲戒処分を受ける可能性があります。懲戒処分の根拠をそれぞれみていきましょう。
① 児童・生徒の場合
「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」で、教師の児童・生徒に対する性暴力等の行為は「懲戒免職の事由になり得る行為である」と記載されています。
そして「児童生徒性暴力等」の定義のひとつに「児童生徒等に性交等をすることまたは性交等をさせること」と規定されていることから、教師は児童・生徒と肉体関係を持つと不倫関係の有無に限らず懲戒処分を受ける可能性があります。そのため、不倫相手が「児童・生徒」の場合は処罰を受ける可能性が高いでしょう。
② 保護者の場合
保護者が不倫相手の場合の処罰の有無は、教育委員会によって異なります。
たとえば、大分県教育委員会の懲戒処分基準に「保護者との不倫行為」に関する明記がありません。一方で、東京都教育委員会は、処分対象となる行為のひとつとして「保護者に対して性交または性交類似行為をし場合は、同意の有無を問わず免職になる」旨を明記しています。
実際に東京都では2023年、勤務先の児童の母親と旅行に出掛け性行為をした小学校教諭が懲戒免職となりました。
各教育委員会により規定が異なるため、一概に「保護者と不倫をすると処罰を下される」とはいえませんが、場合によっては処罰されることもあるでしょう。
3、公務員の不倫で懲戒処分を回避する方法は?
前述の通り、一部の公務員を除き、公務員は基本的には「不倫」を理由に懲戒処分を受けることはありません。勤務中に不倫に関する行為をすると懲戒処分を受けることがあります。
では不倫による懲戒処分を回避する方法はあるのでしょうか。2つの方法をご紹介します。
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(1)職場に不倫がバレないようにする
大前提として、不倫が職場にバレなければ懲戒処分を受けることはありません。不倫を職場にバラす可能性があるのは「配偶者」「不倫相手の配偶者」「不倫相手」でしょう。
ではバラされないようにするにはどうすればいいのでしょうか?
実は不倫の事実を職場にバラす行為は「名誉毀損罪」に当たる可能性があります。そこで、バラす行為は罪に抵触する可能性があると伝え、慰謝料を支払うことで、「不倫を職場に暴露しない」「暴露した場合は違約金をとる」等の交渉を試みることもひとつの手段です。
ただし、伝え方や対応次第では相手を逆上させてしまう可能性もありますので、男女トラブルの解決実績がある弁護士に一任することをおすすめします。 -
(2)勤務中の不倫は厳禁
勤務中や職場において不倫に関する行為をしないよう注意しましょう。そもそも、そのような行為をしなければ懲戒処分が下ることはありません。
具体的には、「業務に関係ないメールや電話のやり取り」「不貞行為」などが該当します。このような行為は行わないように気をつけましょう。
4、不倫トラブルで弁護士へ相談すべきケース
基本的に公務員が不倫をしても処罰を受けることはありませんが、不倫をしたことで深刻なトラブルに陥るケースがあります。
不倫をしてしまった立場であれば、自分だけで抱えこみがちですが、早急に弁護士へ相談すべきケースもあります。以下、具体的にご紹介しましょう。
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(1)不倫相手に子どもができた
不倫相手に子どもができると、「出産するか中絶するか」、「認知するか」、そして「養育費をどうするか」について不倫相手と揉める可能性が高まります。また配偶者に不倫相手が妊娠したことがバレて離婚問題に発展することもあるでしょう。
対応次第で不倫相手との仲のみならず配偶者との仲もこじらせることがあります。適切な対応がわからず話し合いがこじれてしまった場合は、弁護士への相談がおすすめです。 -
(2)不倫をバラすと脅された
公務員は不倫がバレても基本的には処罰されません。しかし、職場に不倫がバレると同僚や上司からの信用を失い、職務上のやり取りがしにくくなるなど、影響は少なからずあるでしょう。
そのため、不倫を知った配偶者や不倫相手の家族等から「職場に不倫をバラしてやる」と脅されることは、非常に怖いものです。
不倫の事実を職場にバラす行為は「名誉毀損罪」に当たる可能性がありますが、相手に名誉毀損だと訴えても、話し方次第ではより怒らせてしまうことになりかねません。
弁護士に依頼して、代理で説得してもらうことで穏便な解決が期待できるでしょう。相手の神経を逆なでし、トラブルを深刻化させないためにも、弁護士の介入をおすすめします。 -
(3)不倫がバレて不倫相手と配偶者が接触した
配偶者に不倫をしていることがバレると、「慰謝料請求のため」や「不倫相手と別れさせるため」に配偶者が不倫相手に接触する場合があるでしょう。
配偶者と不倫相手が接触するとトラブルに発展する可能性が高くなります。配偶者にバレてしまったら早めに弁護士に相談して、トラブルを迅速に収められるようにしましょう。 -
(4)慰謝料請求された
「慰謝料」とは、精神的苦痛を受けた被害者に損害賠償として支払われる金銭です。
慰謝料を請求されたら「支払うか否か」、「いくら支払うか」「支払い方法は一括か分割か」などの話し合い(協議)をすることになります。協議で決まらない場合は、調停や裁判に発展することになります。
調停とは、家庭裁判所へ申し立てて、調停委員や裁判官も交えた話し合いにより紛争を解決する制度です。慰謝料請求を含めた離婚調停の期間は平均3~6か月ですが、この間に慰謝料について合意に至らないと裁判に進みます。
「慰謝料の負担を減らしたい」「早急に解決したい」「配偶者や不倫相手の配偶者への対応が難しい」と感じた場合は、まずは弁護士に相談しましょう。
5、まとめ
公務員は基本的には不倫がバレても懲戒処分を受けることはありません。
しかし、勤務中に不倫に関係する行為をした場合や警察官・教師が不倫をした場合は処罰を受けるおそれがあります。
また不倫をすることで、不倫相手に子どもができて揉めるケースや配偶者から慰謝料請求をされるケースなど、深刻なトラブルに発展することも少なくありません。
自分だけでは解決が難しいと感じたら、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士にご相談ください。離婚トラブルの解決実績がある弁護士が、問題の早期解決のために尽力いたします。
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