0120-277-045

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ 24時間・365日受付
メニュー メニュー

違法民泊を運営した場合の罰則とは? 正しく運営するための注意点

2023年06月15日
  • その他
  • 違法民泊
違法民泊を運営した場合の罰則とは? 正しく運営するための注意点

国内外の旅行客に対する受け皿として、「民泊」が注目を集めています。大分県内でも、コストを抑えた国内の個人旅行で、民泊が活用されています。また、令和元年に開催されたラグビーワールドカップでの訪日外国人客の受け入れにおいても、民泊が活躍しました。

増加する空き家対策の解決策としても、民泊事業への参入を検討する方が多いようです。ただし、単に空き家や空き物件を所有しているからという理由だけで、勝手に民泊を運営するべきではありません。「違法民泊」は犯罪となるためです。

本コラムでは、民泊を運営するうえでの法的なルールや、「違法民泊」を運営した場合に問われる罪や罰則について、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。

1、「違法民泊」とは? 何が理由でバレることになる?

まずは、「民泊」の定義や「違法民泊」の概要について解説します。

  1. (1)民泊とは?

    「民泊」という用語には、法律によって明確な定義が与えられているわけではありません
    一般的には、個人が所有している住宅の一部または全部を活用して、旅行者などに宿泊サービスを提供することを指します。

    個人宅を活用した宿泊施設といえば「民宿」をイメージする方も多いでしょう。
    民宿では、オーナーや従業員が常駐して食事など宿泊中の身の回りのサービスを提供します。
    一方で、民泊は物件の一部・全部を利用させるだけで、オーナーや従業員は常駐せず、食事などのサービスも提供しない形態が主流です。

    民宿は設備などの面で条件が厳しい「旅館業法」を根拠としている一方で、民泊は制限が比較的に緩やかな「住宅宿泊事業法(いわゆる「民泊新法」)」を根拠としています
    この違いが、民泊事業への新規参入のハードルを下げている大きな要因になっているのです。

  2. (2)違法民泊とは?

    法的な制限が緩やかとはいえ、民泊の運営にあたっては各種の法令を遵守しなければなりません。
    とくに、住宅宿泊事業法による規制を守らない運営を続ける民泊は、「違法民泊」と呼ばれます

    違法民泊は、単なるルール違反やマナー違反ではなく、れっきとした犯罪です。
    厳しい罰則も設けられているため、違法民泊を運営した場合には重大な社会的制裁を受けてしまい、運営も継続できなくなるような事態になるでしょう。

  3. (3)違法民泊はなぜ発覚するのか?

    物件の外観などを見るだけでは、違法民泊かどうかを判別することはできません。
    しかし、違法状態で運営を続けている民泊について何らかのルートで不正が発覚して、実際に厳しく処分された事例も存在しています。

    違法民泊が発覚してしまう理由としては、以下のようなものが考えられます

    • 鍵の管理が不適切だった、病気などの緊急事態に事業者が即応してくれなかった、火災警報器や消火器が設備されていなかったなど、実際の利用者が気づいて監督庁に通報した
    • 深夜でも利用者が騒いでいることが多い、ゴミの管理や出し方が不適切、利用客が路上駐車を繰り返しているなどのトラブルから近隣住民が監督庁に通報した
    • 自治体による実態調査などで不正が発覚した


    民泊事業への新規参入の増加を背景にして、近年では監督庁による監視や取り締まりが強化されています。
    そのため、利用者や近隣住民からの通報がなくても、違法民泊が発覚する可能性は高いといえるのです。

2、違法民泊に対する罰則

以下では、違法民泊に対する罰則を、違反の形態ごとに解説します。

  1. (1)民泊運営の許可・届出に関する違反への罰則

    宿泊料や利用料の名目で支払いを受けて宿泊サービスを提供する際は、許可や届出が必要です。
    これらの手続きを怠り、無許可・無届のままで民泊を運営すると「無許可営業」となります。

    ここで注意が必要なのが、無届での民泊運営は「旅館業法違反」になるという点です
    民泊は住宅宿泊事業法を根拠とするものであり、同法の規定や罰則の条文をみても「無届営業」に関する規定は示されていません。
    そのため、「無届でも住宅宿泊事業法の違反にはならないので処罰されない」と勘違いしてしまう方もおられるでしょう。
    しかし、その考えは間違いです。

    宿泊サービスを提供して料金の支払いを受ける場合は旅館業法にもとづく許可を得るのが基本ですが、利用客の宿泊日数が1年間で180日を超えない場合は「民泊」としての届出をすることで、旅館業法による許可を受けていなくても運営可能となります。
    民泊は旅館業法を基本として例外的に認められる形態であるため、民泊としての届出なしで宿泊サービスを提供して料金の支払いを受けると旅館業法の無許可営業となる、という構図です

    民泊の無届営業は旅館業法第3条1項の違反となり、同法第10条1項の規定に従って、6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

  2. (2)そのほかの違反行為に対する罰則

    民泊運営に関する主な違反として、とくに住宅などの物件を所有して民泊を運営する「住宅宿泊事業者」に適用される行為を、住宅宿泊事業法の規定にしたがって記載します。

    6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方(第73条各号)
    • 虚偽の届出をした
    • 業務停止・業務廃止命令に違反した

    50万円以下の罰金(第75条)
    • 家主不在や6室以上の施設なのに住宅宿泊管理業者に委託しなかった
    • 宿泊サービスの提供にあたって、住宅宿泊仲介業者や旅行業者ではない第三者に媒介を委託した

    30万円以下の罰金(第76条各号)
    • 名称などの変更があったのに届出をしなかった、または虚偽の届出をした
    • 宿泊名簿を備え付けていなかった、標識を掲示していなかった
    • 利用客の宿泊日数など都道府県への定期報告をしなかった、または虚偽を報告した
    • 業務改善命令に違反した
    • 都道府県から報告を求められたのに応じなかった、または虚偽の報告をした
    • 立入検査を拒否したり、検査を妨害したり、不在を繰り返して忌避したりした
    • 法令にもとづく質問に対して答弁しなかった、または虚偽の答弁をした

    20万円以下の過料(第79条)
    • 事業者である個人が死亡したのに相続人を報告しなかった
    • 民泊事業を廃止したのに報告しなかった

3、民泊を運営するために必要な手続き

民泊を運営するためには、法律にもとづく手続きを経る必要があります。

  1. (1)旅館業法による許可を受ける

    1年間を通じた旅行客の宿泊日数が180日を超えて営業する場合には、旅館業法にもとづく許可を受けなければなりません。
    旅館業法にもとづく許可を受けるためには、施設の設計後、都道府県の窓口で事前相談をおこなったうえで、水質汚濁防止法にもとづく届出や消防法・建築基準法に定められた基準に合格して、さらに確認検査を受けて合格する必要があります。

    許可を受けるためのハードルは非常に高いので、「自宅や空き家を活用したい」と考えている程度で参入するのは難しいといえます

  2. (2)国家戦略特区法による認定を受ける

    民泊運営で年間の宿泊日数の制限を超えることができる例外となるのが「国家戦略特区」に該当するエリア、いわゆる「特区民泊」です。
    2泊3日以上の滞在を条件に旅館業法の規制を緩和するものです。

    ただし、九州内では北九州市が認定されているだけであり、残念ながら大分県は特区民泊の対象に含まれていません

  3. (3)住宅宿泊事業法に従った届出をする

    大分県内で民泊運営を始めるなら、最もハードルが低い選択肢は「住宅宿泊事業法」に従った届出といえます

    県に対して届出書や添付書類を添えて届出をすることになりますが、原則として、国土交通省の「民泊制度ポータルサイト」から申請する運用になっています。
    インターネット環境がないなどの事情があれば大分県食品・生活衛生課での手続きも可能ですが、県が届出を受理したことを証明する「標識」が交付されるまでには1~2週間ほどの期間が発生するので、スムーズに開業したいと考えるなら、インターネット申請を活用したほうがよいでしょう。

4、違法民泊にならないように注意すべきこと

これから民泊運営を始めたいと考えているなら、違法民泊になってしまわないための準備や対策を尽くすべきです。
以下では、違法民泊になってしまう事態を避けるために注意すべきポイントを解説します。

  1. (1)運営形態に応じた適切な手続きを理解しておく

    民泊を運営する事業者として最も避けなければならないのは、必要な手続きを怠って無許可・無届で営業してしまうことです。
    悪質な場合は厳しく処罰されてしまううえに、行政処分を受けて運営がストップしてしまう事態が起きるおそれもあります。

    まずは、ご自身が予定している運営形態ではどのような手続きが必要となるか、正確に理解することから始めましょう
    必要な手続きが不明であれば、都道府県の関係部署に問い合わせてアドバイスをもらうなど、柔軟な対応も必要になります。

  2. (2)マンション・アパートでの民泊は管理規約を確認する

    マンションやアパートといった集合住宅で民泊を始めたいと考えているなら、かならず管理規約を確認しましょう
    物件によっては、民泊のように不特定の人に利用させることが禁じられている可能性があります。
    また、管理規約に住宅宿泊事業に関する定めがない場合でも、管理組合から禁止する意思がない旨を取り付けなければなりません。

    この点は住宅宿泊事業法にもとづく届出の申請書のなかにも確認欄があります。
    大家や不動産業者などに許可を取らず、勝手な判断で申請書を記載すると、虚偽と判断される危険もあるために注意してください。

  3. (3)運営上の法的なルールを守る

    適正に民泊運営がスタートした後にとも、法令が定めるルールを遵守していく必要があります。

    とくに、事業者の変更や経営法人の移転などがあった場合の届出や、宿泊日数の定期報告などは、守らなければ処罰の対象となります。
    届出や報告を怠ることなく、法的なルールは必ず守るようにしましょう

  4. (4)法的な不安やトラブルは弁護士に相談する

    民泊運営には、法令によるさまざまな規制があります。
    民泊に関する法律はそもそも複雑な運用になっており、ご自身が運営しようとしている民泊がどのケースにあたるのかも判然としない場合も多々あるでしょう。
    法律に関して不安を感じたり、監督庁からの指導や指摘を受けて対応に困ったりした場合は、弁護士に相談してアドバイスを受けてください。

    また、民泊運営を始めるにあたっての準備や整備を進める際にも、弁護士は法的な面のアドバイザーとして心強い存在になるでしょう。
    違法民泊だと疑いをかけられている場合の対応や問題解消も一任できるので、民泊を運営される方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください

5、まとめ

自宅の空きスペースや自己所有の空き家・空き物件を「民泊」として活用したいと考えるなら、まずは法令への理解を深めるとともに、適正な運営に向けた準備を進める必要があります。
法令に違反する「違法民泊」には厳しい罰則が設けられているだけでなく、行政処分を受けて営業が続けられなくなるおそれがあるので注意が必要です。

「民泊を始めたい」「民泊を適正に運営するため、法律に関して相談したい」と考える方や、民泊を運営しているなかでトラブルに巻き込まれてしまった方は、まずはベリーベスト法律事務所に連絡してください
民泊を含め宿泊事業に関する法令の知識と経験を豊富にもつ弁護士が、スタッフと一丸になってお悩みやトラブルを解決します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

0120-277-045

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ
24時間・365日受付

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

大分オフィスの主なご相談エリア

大分市、別府市、中津市、日田市、佐伯市、臼杵市、津久見市、竹田市、豊後高田市、杵築市、宇佐市、豊後大野市、由布市、国東市、東国東郡姫島村、速見郡日出町、玖珠郡九重町、玖珠郡玖珠町にお住まいの方

ページ
トップへ