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もし、盗撮したことが発覚してしまったらどうなる? 盗撮の刑罰を解説。

2022年07月26日
  • 性・風俗事件
  • 盗撮
  • 刑罰
もし、盗撮したことが発覚してしまったらどうなる? 盗撮の刑罰を解説。

令和3年5月、大分市内のホテルで派遣型性風俗店の女性が脱衣中の姿をスマートフォンで撮影したとして、県立学校の男性教諭が「盗撮」の疑いで摘発されました。同年11月、大分県教育委員会は男性教諭に対して停職6カ月の懲戒処分を下しています。

この事例に限らず、「盗撮」が発覚すれば、刑罰や職場からの懲戒処分などの社会的制裁は免れられません。盗撮行為が犯罪であることは、誰もが知っていることでしょう。

とはいえ、実際に報道されている盗撮事件をみると、「盗撮罪」という罪名は報じられず、別の法令違反や犯罪として逮捕・送検されたといったものばかりです。本コラムでは「盗撮」に適用される法律や犯罪、科せられる刑罰について、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。

1、「盗撮」を罰する法律・犯罪

携帯電話・スマートフォンが普及したことにより、カメラ撮影が可能な小型端末をもつ人が増えたため、現代社会は「盗撮」しやすい環境になったといえます。
日常生活のなかでも「盗撮」という用語を使う機会も増えましたが、いわゆる「隠し撮り」のすべてが盗撮として罪を問われるわけではありません。
盗撮として罪を問われるのは、裸や下着姿などの性的・わいせつなものに限られます。

ただし、わが国の法律には「盗撮罪」という具体的な犯罪は存在しません
盗撮行為には、行為の態様や場所、状況などによって、さまざまな法律や条例に違反するものとして懲罰されるおそれがあるのです。

  1. (1)都道府県の迷惑防止条例違反

    全国の各都道府県が定める「迷惑防止条例」には、盗撮行為を禁止・罰する規定が設けられています
    大分県にも「大分県迷惑防止条例」が存在しており、次のような行為が禁止されています。

    • 公共の場所・公共の乗り物において、衣服などで覆われている人の下着や身体を撮影する行為や、カメラを向ける、あるいは設置する行為
    • 集会場・事務所・教室・タクシーなど、不特定または多数の者が利用するような場所または乗り物において下着や身体を撮影する行為
    • 住居・浴場・便所・更衣室など、人が通常は衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所において人の姿態を撮影する行為
  2. (2)軽犯罪法違反

    「盗撮はしていないが、のぞき見した」という状況であれば、軽犯罪法違反が成立する可能性があります

    軽微な秩序違反行為を罰する目的で制定されている「軽犯罪法」では、第1条23号において、人の住居・浴場・更衣(こうい)場・便所などの「のぞき見」を罰する旨が定められています。

    実際には盗撮にいたらなかった場合でも、人が通常は衣服を着けないでいるような場所をひそかにのぞき見すれば、処罰の対象となるのです。

  3. (3)刑法の建造物侵入罪・住居侵入罪

    「盗撮ものぞき見もしていないが、盗撮目的でビルや他人の敷地に立ち入った」という状況であれば、刑法の建造物侵入罪や住居侵入罪によって罰せられる可能性があります

    刑法第130条では、正当な理由がない侵入行為を罰する旨が定められています。
    ビルや商業施設などに立ち入れば「建造物侵入罪」となり、人の住居や敷地に立ち入れば「住居侵入罪」となるのです。

    いわゆる「不法侵入」を罰する犯罪ですが、「正当な理由がない」という点が重要になります。
    他人が住んでいる家に無断で立ち入れば、不法侵入となるでしょう。
    しかし、ビルや商業施設などは出入りが自由なところも多いため、仕事や買い物を目的に単に立ち入っただけでは不法侵入とはなりません。

    ところが、たとえ出入りが自由な建造物であっても、「盗撮目的」での立ち入りは正当な理由とはみなされないのです。
    そのため、盗撮やのぞき見を実際にはしなくても、それを目的にして建造物に侵入したなら、犯罪が成立する可能性があります。

2、盗撮が発覚して逮捕された実例

以下では、実際に盗撮行為が発覚して、警察に逮捕された事例について紹介します。

  1. (1)歩道橋の階段で背後からスカートの中を盗撮・現行犯逮捕された事例

    令和3年11月、群馬県前橋市の歩道橋で、階段を上っていた女子高生の背後から近づいてスマートフォンでスカートの中を盗撮した県職員の男が現行犯逮捕されました。
    偶然通りがかった男性が、盗撮行為に気づいて取り押さえたとのことです。

    現行犯逮捕は、犯行のまさにそのとき、その場所において直ちに身柄を拘束できる逮捕種別です。
    通常の逮捕と異なり、犯人を取り違える危険が少ないことから、裁判官の令状を要しません。
    さらに、警察官・検察官ではない一般の私人にも現行犯逮捕が認められています。
    そのため、盗撮事件では「目撃者や被害者自身が身柄を取り押さえた」といった場合も多数あるのです

  2. (2)盗撮目的で女子トイレに侵入・現行犯逮捕された事例

    令和3年11月、長崎県佐世保市の公衆女子トイレに侵入した容疑で、自衛隊員の男が現行犯逮捕されました。
    巡回中の警察官が女子トイレから出てきた男を確認したため逮捕にいたったとのことです。

    男は飲酒した状態で、取り調べに対して「盗撮目的で入った」と供述しておりました。
    たとえ酒に酔っていたとしても、盗撮目的での不法侵入は逮捕される危険が高いと考えるべきでしょう

  3. (3)警察のスマホ解析によって盗撮が発覚・通常逮捕された事例

    令和3年5月、新潟県長岡警察署の警察官の男が盗撮の疑いで逮捕されました。
    県警本部が男について別の問題で調査を進める過程で、スマートフォンに保存されていた盗撮動画を発見したことから発覚したものです。
    同年3月に長岡市内のホテルで派遣型性風俗店の女性の裸を盗撮したものと確認され、容疑が固まったため逮捕状の発付を受けて逮捕にいたりました。

    盗撮事件では先に2つの事例のように現行犯逮捕されるケースが多くなっておりますが、この事例のように、証拠が残っていれば犯行の後日でも逮捕されるおそれがあります。
    「そのときにバレなかった」「捕まらなかった」というだけで安心してはいけないのです。
    特に、盗撮したことが相手に発覚していた可能性が高いと察せられる場合には、警察に逮捕される前に弁護士に相談することをおすすめします

3、盗撮で逮捕されるとどのような刑罰を受けるのか?

盗撮容疑で警察に逮捕されると、逮捕・勾留による身柄拘束を受けたうえで、検察官が起訴・不起訴を判断します。
検察官が起訴に踏み切った場合は刑事裁判で審理されることになりますが、盗撮を犯したのが事実であれば、無罪判決となる可能性はほとんどありません。

以下では、盗撮で逮捕された場合に科される可能性のある罰則について、解説します。

  1. (1)迷惑防止条例違反の場合

    大分県迷惑防止条例に違反して盗撮をはたらいた場合は、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
    また、常習として盗撮を犯した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金へと刑が加重されるのです。

    ここでいう「常習として」とは、以前に盗撮事件を起こした経歴があることだけを指すわけではありません。
    犯罪における常習とは「ある犯罪を反復する習癖のある者が、その習癖の発現として罪を犯すこと」を指しています。
    つまり、たとえ警察に逮捕されたのが初めてであっても、スマートフォンの解析によってほかにも盗撮画像が発見された、同一犯の余罪が多数発覚したといった場合は、「常習」とみなされて、厳しく罰せられる可能性があるのです。

  2. (2)軽犯罪法違反の場合

    軽犯罪法違反の罰則は、「拘留」または「科料」です。

    拘留とは、1日以上30日未満の身柄拘禁をいいます。科料は、1000円以上1万円未満の金銭徴収のことです。
    拘留や科料はわが国における刑罰としてはもっとも軽いものですが、前科がついてしまいその後の人生に不利益をもたらすおそれがあるため、軽視すべきではありません。

  3. (3)建造物侵入罪・住居侵入罪の場合

    建造物侵入罪・住居侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
    懲役の上限という観点からみれば、盗撮行為を罰する法律・犯罪のなかではもっとも重い刑罰が規定されているといえます。

4、盗撮してしまったら、警察に発覚するよりも前に弁護士に相談

もし、盗撮行為をしてしまった場合には、弁護士に相談してください。
まだ逮捕されていなかったり警察による捜査などを受けていなかったりする場合でも、被害者からの申告やほかの事件の捜査などを経て、犯行の後日でも逮捕される危険があります。

逮捕による身柄拘束や厳しい刑罰を回避するためには、事前から対応することが重要になるのです。

  1. (1)被害者との示談交渉によって穏便に解決する

    盗撮事件をもっとも穏便なかたちで解決する方法は「被害者との示談交渉」です。
    被害者に謝罪したうえで慰謝料などを含めた示談金を支払うことで、被害届の提出を見送ってもらったり、すでに提出した被害届を取り下げてもらったりすることが期待できます
    まだ被害届が提出されていなければ、警察の捜査が行われることを防げる可能性があります。
    また、すでに被害届が提出されていても「被害者には処罰を求める意思がない」と判断されて、起訴されずに事件が終結する場合もあるのです。

  2. (2)示談が成立していれば身柄拘束の回避や不起訴処分が期待できる

    被害者との示談が成立すれば、逮捕や勾留による身柄拘束の回避や、検察官による不起訴処分が期待できます。
    冒頭で紹介した大分県教諭による盗撮事件では、検察官が不起訴処分を下しました。
    その背景には「すでに被害者との示談が成立している」という事情もはたらいていたと考えられます。

    ただし、盗撮被害者との示談交渉は、決して容易ではありません。
    特に被害者は「盗撮された」という怒りや嫌悪の感情が強いため、示談交渉を申し入れても、かたくなに拒絶されてしまうおそれがあるでしょう。

    被害者の警戒心を解き、円滑な示談交渉を進めるには、公平中立な第三者である弁護士を代理人とすることをおすすめします

5、まとめ

日本の法律では、「盗撮罪」という刑罰が具体的に規定されているわけではありません。
しかし、行為の内容や状況などに応じて、盗撮行為は迷惑防止条例違反・軽犯罪法違反・刑法の建造物侵入罪や住居侵入罪によって処罰されることになるのです。

その場で発覚すれば、現行犯逮捕される危険が高いでしょう。
また、その場で発覚しなくても事後の捜査によって通常逮捕されてしまうおそれもあります。
「バレていないから大丈夫」などと軽視せずに、できるだけ早くから対応を開始することが大切です

盗撮行為をしてしまい、逮捕や刑罰に不安を感じているなら、弁護士に相談したうえで積極的に被害者との示談交渉を進めて解決を図るのが最善策です。
大分県にご在住の方は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 大分オフィスにまでおまかせください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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