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休日出勤における上限やルールとは? 企業が注意すべき点を解説

2023年09月21日
  • 労働問題
  • 休日出勤
  • 上限
休日出勤における上限やルールとは? 企業が注意すべき点を解説

会社が従業員に対して休日出勤を命じることができるのは、労使協定(36協定)で定められたルールの範囲内に限られます。

企業としては、従業員の休日出勤に関して労働基準法上の規制や手続きを順守することが大切です。

本コラムでは、従業員の休日出勤の上限や、その他の休日出勤に関する労働基準法上の規制や注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 大分オフィスの弁護士が解説します。

1、休日出勤とは?

「休日出勤」とは、一般に、会社における休日に労働者(従業員)が出勤することをいいます。
休日には「法定休日」と「所定休日(法定外休日)」の二種類があり、休日出勤がどちらの休日に行われたのかによって、残業代(休日手当)の計算方法は異なります。

  1. (1)2種類の休日出勤|法定休日と所定休日

    休日には、「法定休日」と「所定休日(法定外休日)」の二種類があります。

    ① 法定休日
    労働基準法によって付与が義務付けられた休日です。原則として1週間に1日ですが、4週間を通じて4日とすることもできます(労働基準法第35条第1項、第2項)。

    ② 所定休日(法定外休日)
    労働契約または就業規則で定められた休日のうち、法定休日以外のものとなります。


    1週間に2日以上の休日がある会社では、そのうち1日のみが法定休日、その他の休日が所定休日にあたります

    法定休日と所定休日は、以下のように区別されます。

    (a)労働契約または就業規則に定めがある場合
    →その定めに従って法定休日と所定休日が区別されます。

    (b)労働契約または就業規則に定めがない場合
    →仮に、日曜日及び土曜日の週休2日制の事業場において、法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日が法定休日となります。
    4週4日の休日制を採用する事業場においては、ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日が法定休日となります。
  2. (2)休日出勤の残業代の計算方法

    休日出勤の残業代の計算式は、下記の通りです。

    休日出勤の残業代=1時間当たりの基礎賃金×割増賃金率×休日出勤の時間数

    1時間当たりの基礎賃金
    =1か月の総賃金(以下の手当を除く)÷月平均所定労働時間

    <総賃金から除外される手当>
    • 時間外労働手当、休日手当、深夜手当
    • 家族手当(扶養人数に応じて支払うものに限る)
    • 通勤手当(通勤距離等に応じて支払うものに限る)
    • 別居手当
    • 子女教育手当
    • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うものに限る)
    • 臨時に支払われた賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金


    割増賃金率は、休日出勤による労働時間が以下のいずれに該当するかによって異なります。

    ① 法定内残業(法内残業)
    労働契約または就業規則に基づく所定労働時間を超えるが、法定労働時間(原則として1日当たり8時間・1週間当たり40時間)は超えない労働時間です。
    所定休日における労働時間は、法定労働時間の範囲内であれば法定内残業にあたります。

    法定内残業には割増賃金率が適用されず、通常の賃金が発生します

    ② 時間外労働(法外残業、法定外残業)
    法定労働時間を超える労働時間です。所定休日における労働時間のうち、法定労働時間を超える部分は時間外労働にあたります。

    時間外労働については、通常の賃金に対して125%以上の割増賃金が発生します
    ただし、時間外労働が1か月当たり60時間を超える場合には、超過部分につき通常の賃金に対して150%以上の割増賃金が発生します。

    ③ 休日労働
    法定休日における労働時間です。

    休日労働については、通常の賃金に対して135%以上の割増賃金が発生します。


    なお、休日出勤が深夜(午後10時から午前5時まで)に及ぶ場合、その時間帯については深夜手当(通常の賃金を25%以上にすること)が加算されます。

2、休日出勤に上限はあるのか?

会社が労働者に対して休日出勤を命じるためには、労働組合などとの間で「36協定」を締結する必要があります。
また、休日出勤の日数や時間数は、36協定で定められた範囲内に限定されます

  1. (1)休日出勤が認められるのは、36協定を締結している場合のみ

    会社が労働者に対して休日出勤を命じることができるのは、「36協定」と呼ばれる労使協定を締結している場合に限られます(労働基準法第36条第1項)。

    36協定について労働者側の当事者となるのは、以下の通りです。

    ① 事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合
    →その労働組合

    ② 事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がない場合
    →事業場の労働者の過半数を代表する者(管理監督者および使用者の意向によって選出された者は不可)
  2. (2)36協定の範囲内でのみ、休日出勤を命じることができる

    36協定では、時間外労働や休日労働に関して、以下のようなルールが定められます。

    • ① 時間外労働または休日労働をさせることができる労働者の範囲
    • ② 時間外労働または休日労働をさせることができる期間(=対象期間。1年間に限る)
    • ③ 時間外労働または休日労働をさせることができる場合
    • ④ 対象期間における、1日当たり・1か月当たり・1年当たりの時間外労働の上限時間、または休日労働の上限日数
    • ⑤ 36協定の有効期間
    • ⑥ 対象期間の起算日
    • ⑦ 1か月当たりの時間外労働および休日労働の合計時間を100時間未満とすること
    • ⑧ 対象期間の初日から1か月ごとに期間を区分し、そのうち連続する2か月・3か月・4か月・5か月・6か月における、時間外労働および休日労働の1か月当たりの平均合計時間が80時間を超えないようにすること

    <特別条項(※)を規定する場合に定めるべき事項>
    (※)限度時間(1か月当たり45時間、1年当たり360時間)を超える時間外労働に関するルールを定める条項
    • ⑨ 限度時間を超えて時間外労働をさせることができる場合
    • ⑩ 限度時間を超えて時間外労働をさせる労働者に対する、健康・福祉を確保するための措置
    • ⑪ 限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金の率
    • ⑫ 限度時間を超えて時間外労働をさせる場合の手続き


    会社が労働者に対して休日出勤を命じることができるのは、36協定で定められた時間外労働・休日労働の上限時間(日数)までです。
    上限を超えて休日出勤を命じた場合、会社は労働基準法違反の責任を問われるおそれがあります

3、休日出勤について企業が注意すべきポイント

会社が適切に労務管理を行うためには、休日出勤について、以下の点に注意する必要があります。



  1. (1)36協定の締結・届け出

    会社が労働者に対して休日出勤を命じるためには、あらかじめ労働組合などとの間で36協定を締結しなければなりません。

    36協定は、事業場ごとに締結する必要があります
    36協定が締結されていない事業場では、労働者に休日出勤を命じることができないのでご注意ください(時間外労働・休日労働のいずれにも該当しない場合を除きます)。

    また、36協定を締結した場合には、労働基準監督署への届け出も必要です。
    届け出がなされなければ36協定は発効しないため、実際に休日出勤を命じる前に届け出を済ませる必要があります。

  2. (2)就業規則の変更・届け出

    常時10人以上の労働者を使用する事業場において、休日出勤に関するルールを変更した場合は、変更内容を就業規則に反映させる必要があります(労働基準法第89条第1号)。

    就業規則を変更する場合には、その内容について労働組合(または労働者の過半数代表者)の意見を聴取したうえで、意見書を添付して労働基準監督署へ届け出る必要があります(同法第90条第1項、第2項)。
    36協定を届け出る際に、就業規則の変更についても併せて届け出ましょう。

  3. (3)割増賃金の支払い|法定休日と所定休日の区別も大切

    前述の通り、法定休日と所定休日では、残業代や休日手当について適用される割増賃金率が異なります。

    労働者に休日出勤を命じる場合は、法定休日と所定休日を明確に区別して、適切な金額の残業代や休日手当を支払いましょう。

  4. (4)振替休日と代休について

    法定休日に労働させる労働者については、振替休日または代休を付与するという選択肢も検討することができます

    ① 振替休日
    振替休日を付与すれば、労働日と法定休日を入れ替えることができます。
    労働者が働く日は労働日となるため、割増賃金は発生しません。

    ② 代休
    法定休日における労働がなされた後、労働日を代休とすることもできます。
    労働者が働く日は法定休日であるため、休日労働の割増賃金(通常の賃金に対して135%以上)が発生します。


    振替休日または代休を付与する場合には、就業規則にその旨を定めましょう。
    ただし、就業規則の変更によって振替休日または代休の制度を新たに導入する場合は、労働条件の不利益変更に関する問題が生じる可能性があるため(労働契約法第9条、第10条)、弁護士に相談してください。

  5. (5)労働時間や健康の管理

    連続勤務日数が長くなったり長時間労働が常態化したりすると、労働者が健康を害してしまい、労災や離職などにつながるおそれがあります。

    会社としては、各労働者の労働時間を正しく把握したうえで、特定の労働者に業務負担が偏らないように配慮すべきです
    また、必要に応じて産業医のカウンセリングを勧めるなどの対応も検討しましょう。

4、人事・労務管理については弁護士に相談を

企業法務に詳しい弁護士であれば、36協定の締結や就業規則の見直し、労働時間管理の方法に関するアドバイスなど、人事や労務を適切に管理するための具体的なサポートを行うことができます

企業を経営者や責任者で、「休日出勤に関するルールを整備したい」「人事・労務管理に関する課題を抱えている」などの希望やお悩みをお持ちの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

5、まとめ

会社が労働者に対して休日出勤を命じることができるのは、労働組合(または労働者の過半数代表者)と締結した36協定の範囲内に限られます。
また、長時間労働が常態化している労働者については労災や離職のリスクが高くなるため、労働時間等を適切に管理することが大切です。

ベリーベスト法律事務所では、人事・労務管理に関するご相談を受け付けております。
休日出勤の取り扱いなどについてのお悩みも、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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